これが東京23区土砂災害警戒区域の多さランキングだ!最多の「港区」は210カ所

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 土石流で甚大な被害を受けた静岡県熱海市の伊豆山地区。現場は以前から危険性が指摘されていたエリアであり、ハザードマップでも「土砂災害警戒区域」に指定されていた。だが、都心部にも山を削って宅地開発したエリアは多く、今回の災害を他人事ではなく感じている人は多いだろう。

 ◇  ◇  ◇

 大気の不安定な状態が続き、気象庁は土砂災害に厳重警戒を呼びかけている。そんな中、日刊ゲンダイに「都内近郊の土砂災害警戒区域に指定されている不動産を買うかどうか迷っている。どうしたらよいか?」という読者からの相談があった。

〈今回の被害地域のような急峻な土地ではなく、駅からはほど近く、日当たりもよいので、頑丈な基礎を打てば大丈夫ではないか?〉

 とはいえ、さすがに災害直後とあって購入をためらっているそうだ。

イエローゾーンの土地は買っていいのか?

「土砂災害警戒区域」(通称イエローゾーン)は、土砂災害が発生した場合、生命に危害が生ずる恐れがある土地のこと。今回の熱海の伊豆山地区の大部分はこれに該当する。さらにその中でも生命に著しい危害が生じる恐れがあれば、「土砂災害特別警戒区域」(通称レッドゾーン)になる。1999年6月の集中豪雨による広島市・呉市の土砂災害(死者24人)を受け、2000年5月に「土砂災害防止法」が制定された。これにより、自治体にはハザードマップでイエローゾーンの作成と公表が求められている。その土砂災害は毎年全国各地で発生しており、年平均の発生件数は約1100件。人が住んでいない場所ならいいが、都内でも最近は板橋区西台でがけ崩れが起きた。

「市町村は土石流や地すべりの可能性がある場所を危険エリアとして公表しています。最終的には個人の判断になりますが、土砂災害が不安な人は買わない方がいいかと思います」(不動産コンサルタントで「さくら事務所」会長の長嶋修氏)

 とはいえ、開発制限や建築物の構造規制、知事の許可がいるレッドゾーンに対し、イエローゾーンは特に制約がない。区域内の土地や家屋の売買も自由で、売る際に買い主側にイエローゾーンであることを告知する義務はあるが、購入したら建築制限などを受けず自由に家を建てられる。

 一般的に高台は眺望や日当たりがよい立地であったり、周辺に比べて地価が安いということもあり、むしろ警戒区域を気にせずに家を購入する人もいる。いわゆる、「山の手」と呼ばれる人気エリアで、実際にカルロス・ゴーンも住んでいた港区元麻布の超高級マンションのすぐ東側はレッドゾーンとイエローゾーンだ。

 イエローゾーンの具体的な基準としては、「傾斜度が30度以上で高さが5メートル以上の区域」「土石流の発生のおそれのある渓流において、扇頂部から下流で勾配が2度以上の区域」などがあり、山を切り崩した土地に宅地造成したエリアは簡単にひっかかる。

横浜市の新興住宅地は警戒エリアだらけ

 閑静な住宅街として有名な横浜市や宝塚市などは警戒区域も多く、ちなみに言うと、横浜市青葉区の「こどもの国」はほぼまるまるイエローゾーンになっている。一方、傾斜度30度未満の斜面は原則、土砂災害防止法が適用されないが、指定要件を満たしていなくとも将来的に災害が起きないとは言い切れない。

■最多の「港区」は元麻布、白金台など210カ所

 警戒区域はおよそ5年ごとに更新され、23区で最も多い「港区」だけを取ってみてもイエローゾーンは210カ所もある(うちレッドゾーンが142カ所)。港区が公表している警戒エリアは、自然斜面が「白金台3-13」「元麻布1-2」「南麻布4-5」「赤坂7-6」など、人工斜面が「六本木3-5」「麻布狸穴町9」「西麻布3」「南麻布1-24」「芝公園3-1」「白金2」などがある。

 次に多い区は「板橋区」のイエロー149カ所(うちレッドは117カ所)。住所でいうと、「赤塚4」「大原町」「成増1~5」などだ。

 その次が「文京区」のイエロー106カ所(うちレッドは64カ所)、「世田谷区」のイエロー100カ所(うちレッド79カ所)、「大田区」のイエロー97カ所(うちレッドは60カ所)となる。富裕層ほど高台に住みたがるような気もするが、意外と警戒区域に建てられていることも多い。

 不動産コンサルティング「ラソ・トラスト」代表の前田浩司氏がこう言う。

「地価が安いなどの理由でリゾート地に別荘などの購入を検討されている方は、必ずハザードマップを参照することをお勧めします。不動産業者には警戒区域の告知義務がありますので、分からなければ聞いてみるとよいでしょう。一方、都心部の住宅街は対策工事を行っているところもあり、今回の熱海市のような大規模な災害が発生する可能性は低い。もちろん、危険エリアであることには変わりありませんが、最終的には自己判断での売買となります。少なくとも土砂災害もカバーする火災保険には加入しておいてください」

 中には、親の代から住んでいる住居がイエローゾーンに指定されるケースもあるが、固定資産税の減免措置を行っている自治体はまだ少なく、仮にがけ崩れが起きてしまった場合は土地所有者の責任となる。普通の土地に比べると、家主にとってリスクがあることは承知しておきたい。

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