発酵熱、土壌微生物…新たな発見と知識をもたらしてくれる畑づくりは面白い
冬は畑の土づくりの季節だ。
収穫しっぱなしの土に、次のタネをまいたり苗を植えつけたりしても、うまくは育たない。前の野菜の残渣(ざんさ)を掃除し、深く耕し、苦土石灰や堆肥をまいて、次の野菜を育てるための土を準備しておく必要がある。おいしい野菜を作るにも、美しい花を咲かせるにも、すべては土次第なのだ。
と、ずいぶん土を熟知するかのように言っているが、父の畑を手伝うようになるまで、私は土が何であるかさえ知らなかった。
自然の土は長い時間をかけ、岩と生き物が混ざり合ったものだ。岩が削られたり崩れたりして細かくなり、そこに落ち葉や動物のフン、生物の死骸などがたまる。それらが土壌動物や昆虫、微生物などによって徐々に分解され、岩と混ざり合って土ができる。岩という無機物と、朽ち果てた生物という有機物の複雑な積み重なりが土。ということを私は畑仕事をするようになってから、遅ればせながら学んだ。