鶴岡思帆
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鶴岡思帆「ガーデンストーリー」副編集長

1977年生まれ。ガーデニング雑誌の編集を経て、現在Webサイト「ガーデンストーリー」の副編集長を務める。父で文筆家の岡崎英生が借りた長野県の四賀クラインガルテンで、17歳から菜園づくりやガーデニングを楽しむ。

発酵熱、土壌微生物…新たな発見と知識をもたらしてくれる畑づくりは面白い

公開日: 更新日:

 冬は畑の土づくりの季節だ。

 収穫しっぱなしの土に、次のタネをまいたり苗を植えつけたりしても、うまくは育たない。前の野菜の残渣(ざんさ)を掃除し、深く耕し、苦土石灰や堆肥をまいて、次の野菜を育てるための土を準備しておく必要がある。おいしい野菜を作るにも、美しい花を咲かせるにも、すべては土次第なのだ。

 と、ずいぶん土を熟知するかのように言っているが、父の畑を手伝うようになるまで、私は土が何であるかさえ知らなかった。

 自然の土は長い時間をかけ、岩と生き物が混ざり合ったものだ。岩が削られたり崩れたりして細かくなり、そこに落ち葉や動物のフン、生物の死骸などがたまる。それらが土壌動物や昆虫、微生物などによって徐々に分解され、岩と混ざり合って土ができる。岩という無機物と、朽ち果てた生物という有機物の複雑な積み重なりが土。ということを私は畑仕事をするようになってから、遅ればせながら学んだ。

 畑では、有機物を意図的に土壌に加えて土づくりを行う。畑において有機物とは、いわゆる堆肥だ。さまざまな商品もあるが、クラインガルテンでは自分たちでつくる方法も教わった。抜き取った草や枯れ葉は捨てずに積み重ねておいて、油かすや米ぬかを撹拌(かくはん)して置いておくと微生物の働きによって発酵して堆肥に変わる。発酵過程では草の残渣の山から湯気が上がるほど発酵熱が発生するが、それこそ微生物たちの活発な活動の証し。一度その山に手を入れてみたことがあったが、ポカポカと気持ちよく、以前、酵素風呂で米ぬかに埋まった時のことを思い出した。

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