著者のコラム一覧
南野苑生マンション管理員

1948年生まれ。大学卒業後、広告代理店に勤務。バブル崩壊後、広告プランニング会社を設立するものの経営に行き詰まり、59歳のとき、妻とともに住み込みのマンション管理員に。その体験をつづった「マンション管理員オロオロ日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

「ねえ、あなた。2人で住み込みの管理員をしましょうか」と妻が言い出した

公開日: 更新日:

 今を去ること、ほぼ15年前、わたしは窮地に陥っていた。

 京都の小さな広告代理店から独立を果たし、これまたひとり社長のような小さな会社を拵えたものの、得意先が次々と減っていき、わが社一番の大口クライアントだったA社やB社も、いうところの“3K”から手を引くようになっていたのだ。

 バブル全盛のころは、「広告・企画・広報」といえば就活生にとっては垂涎の的だったのだが、バブルがはじけてからはリクルーターよりは企業そのものが見向きもしなくなった。そして3Kといえば、「キツイ・キタナイ・キケン」を意味するようになった。つまりは、かつて花形だった職業もしくは部門が、できれば避けたい職種の一つと化してしまったのだ。

 ご多分に漏れず、わたしのクライアントたちも軒並み、広告・企画・広報に関する費用を削るようになった。それに要する制作物を外注せずに自社で賄うようになった。

 世はまさにパソコン時代。マッキントッシュが知恵を絞ってくれたおかげでキーボードを打ってプログラミングするのではなく、マウスひとつでさまざまなものが制作できるようになった。

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