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南野苑生マンション管理員

1948年生まれ。大学卒業後、広告代理店に勤務。バブル崩壊後、広告プランニング会社を設立するものの経営に行き詰まり、59歳のとき、妻とともに住み込みのマンション管理員に。その体験をつづった「マンション管理員オロオロ日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

「ねえ、あなた。2人で住み込みの管理員をしましょうか」と妻が言い出した

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 家からの持ち出しは2600万円を超え、それまでに蓄えていた預金も残り少なくなっていった。借りていたテナントからは撤退し、自宅での営業に切り替え、早朝には郵便局でのバイトもするようになった。2人して明日は我が身とばかり毎夜毎夜、寒空のなか、あちこちにいるホームレスたちにちょっとした食べ物を配り歩いていたある日、家内がぽつりと言った。

「ねえ、あなた。わたしたち、2人で住み込みの管理員をしましょうか」

 わたしは一瞬、絶句した。気位の高く、どちらかといえば「セレブな雰囲気」を身上とする彼女が、そんな惨めな職業をクチにするとは思えなかった。確かにこのままで行けば、あちこちにいるホームレス同様の身分に落ちてしまうのは、火を見るより明らかだった。

 かくして、わたしたちは住み込みのマンション管理員になったのだった。(つづく)

【連載】73歳・マンション管理員 哀愁の日々

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