小池都知事のああ大誤算…“まん防”期待薄、今月末「病床50%」超えで緊急事態宣言まっしぐら

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 オミクロン株による感染拡大が止まらない。とうとう、19日の東京都内の新規感染者は7377人と、7000人を突破。都内の1日あたりの新規感染者数としては過去最多に上った。政府は21日から来月13日まで13都県を対象に「まん延防止等重点措置」(重点措置)の適用を追加するが、感染拡大防止の期待は薄い。小池都知事は「感染を止める、社会は止めない」と意気込んでいたが、完全にもくろみが外れている。

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  ◇  ◇  ◇

 都は19日の対策本部会議で、都内の飲食店への対応として「認証店」には「午後9時までの営業、酒類提供は午後8時まで」か「午後8時までの営業、酒類提供なし」か、どちらかの選択を求め、「非認証店」には「午後8時までの営業、酒類提供なし」を要請すると決定。事業者への協力金は、売上高に応じて中小事業者に1店舗あたり60万~480万円、大企業には上限480万円を支給するという。

 度重なる時短要請には予想通り、飲食店からブーイングが相次いでいるが、深刻化する一方の感染状況を前に、小池都知事も重点措置という“苦肉の策”を打たざるを得なかったようだ。

「知事のホンネは『経済を止めたくない』。ただ、これだけ感染が広がると、さすがに何も手を打たなければ批判されてしまう。仕方なく重点措置の要請に踏み切ったのが実態でしょう。知事本人も、どこまで重点措置に効果があるのか疑問を持っているようです」(都政関係者)

 都と足並みを揃える神奈川県の黒岩祐治知事も、19日の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)で「重点措置で本当にオミクロン株の拡大が抑えられるかどうか、これは正直言って分かりません」「でも、これ以外にやる手はない。今、我々ができる最大の手」──と吐露。「これ(重点措置)以外の武器を持っていません」と開き直っていたから、小池都知事にしても重点措置は“打つ手なし”の裏返しなのだろう。

立ち位置を確立できず

 ホンネでは「経済を回したい」と思っていても、今月末には「緊急事態宣言」も視野に入ってくる惨状になりそうだ。そうなれば、経済は完全にストップする可能性が高い。

 都内の病床使用率は19日時点で25.9%。前週比約2倍だ。同じペースで病床が埋まっていくと、来週26日には都が緊急事態宣言の要請を検討する基準の「50%」を超える。19日の会見で小池都知事は、宣言発令の要請の可能性について「オミクロン株の拡大を抑えるために今、『まん防』をスタートするわけで、(都民や事業者に)ご協力をお願いする」とコメントするのが精いっぱいだった。政治評論家・本澤二郎氏がこう言う。

「基準を決めている以上、緊急事態宣言の発令を要請しないと、『なぜ要請しないのか』と突っ込まれる。かといって、宣言は『感染は止める、社会は止めない』との立場に反する。小池さんにとってオミクロン株の感染拡大は誤算であり、ジレンマを抱えていることでしょう。小池さんは政権との対立構図をつくって支持を得てきましたが、岸田政権に替わってから、自分の立ち位置を確立できていないように見えます。果たしてコロナ対策に集中できているのでしょうか」

 頼みの綱である3回目のワクチン接種も、遅々として進まない。「感染は止められず、社会は止める」ことになりそうだ。

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