マンション管理員の定説「元学校の先生、元警察官、元お役人は向かない」
前話で、かくしてわたしたちは住み込みのマンション管理員になった──と、ちょっぴり端折って書いた。だが、口でいうほど簡単に管理員になれたわけではない。
もちろん、わたしたち自身の迷いもあったし、ふっきりの悪さもあった。世間一般の認識はどうだか知らないが、これが意外となりにくいのである。実をいうと、わたしたちは三度目の正直でようやく住み込み管理員になることができた。
後に知ったことだが、住み込み管理員希望のご夫婦が8組いたとして、実際に採用されるのは1組か、せいぜい2組に過ぎないとか──。つまりは、誰でもなれる職業ではないようなのだ。実をいうと、わたしたちも安易に考えていた。
入社試験のテスト内容が難しいとかそういったことではなく、面接にパスすること自体が難しいのである。これも後で知ったことなのだが、一説に「元学校の先生、元警察官、そして元お役人は管理員に向かない」というのがあるらしい。
この業界では《常識中の常識》というが、管理員の元職業で統計的にもっとも向いていないのは、学校の先生、警察官、そしてお役人なのだそうである。おそらく管理会社の推計に基づく経験則なのだろうが、わたしたちもご多分に漏れなかった。わたしの経歴に学習塾の講師や講演会でのトーク、企業でのカウンセリングなどの経験も書いていたのがいけなかったのだろう。