(5)吉村洋文大阪府知事の「子どもたちにツケを残さない」という主張は本当か
大阪、そして日本全国で人気のある日本維新の会副代表で大阪府知事の吉村洋文氏は、街頭演説で繰り返し、「子どもたちにツケを残さない!」「子どもに背負わせるのは借金じゃない。ランドセルだ」と述べている。
筆者もその意見に大いに賛成するところなのだが、維新の公約やこれまでの維新内の議論などの実態とは、あまりにかけ離れているように映る。
維新は、ベーシックインカムという政策を公約として掲げていて、その政策の実現には、毎年100兆円の予算が必要だ。
毎年100兆円とは、日本の国家予算とほぼ同等だ。経済学者の竹中平蔵氏らが支持するこのベーシックインカムという政策は、莫大な財源が必要であることから、いまだに世界で成功した国は一つもない。
そして、維新は、その毎年100兆円の財源について、公式文書で明らかにしていない。
毎年100兆円といえば、国民1人当たり毎年83万円の負担となる。維新は、当初、この財源の多くを「貯金などへの増税」によって賄うとしていたが、昨年の衆院選挙を前に、撤回。衆院選後、もう一度「増税」に戻そうとしたところ、世論の大きな反発を食らった。