安倍がつき菅がこねし「戦争餅」を何も考えずに食うがごとき態度

公開日: 更新日:

中島京子(小説家)

 この十年間は、日本がいつでも戦争できるように法整備を整えてくる期間だった。秘密保護法(2013年)、安保法制(2015年)、共謀罪(2017年)と、民主主義を脅かす法律を次から次へと、強行採決で決めてきた安倍政権時代は、そのためにあった時代だった。短かった菅政権も、安倍氏の申し送り事項だったらしい、学術会議の任命拒否をして、知や学問を時の政権に従わせる方針をあきらかにした。戦争の時代に、必ず政府が知や言論を統制するように。

 被爆地広島出身で宏池会に所属する岸田首相は、その出自が与えるイメージを大きく裏切って、安倍がつき菅がこねし戦争餅を、何も考えずに食うがごとき態度で、安保三文書を「閣議決定」した。ロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、「台湾有事」を煽ることのできるいまなら、「巨額の防衛費」も「敵基地攻撃能力」も、市民や野党は反対できないだろうと考える人たちの、「黙って進めるだけで、あなたの権力は安泰ですよ」と耳元で囁く声に、深く考えずに身を任せることにしたのだろう。人の意見に反対したり、リーダーは何をすべきなのか考えたりするのは、なかなかに、めんどくさいことなんだろうから。

 しかし、少しでも考えれば、「敵基地攻撃能力」を持ったり、トマホークを買ったりするのではなくて、「台湾有事」を回避するために必死で努力すべきだという考えしか浮かばないはずだ。米中が台湾を巡って対立し、戦争に発展するという段階になれば、米軍基地のある日本は攻撃対象になり、沿岸部にずらりと並んだ原子力発電所は、身の内に抱え込んだ地雷以上に危険な存在になる。戦争の影響で物流が滞れば、食糧の六割以上を輸入に頼る日本は、たちまち食糧危機に陥る。早晩、餓死者が出るだろう。

 そんな「有事」が起こってもらっては困る。だから、起こらないように、起こさないように、外交努力を重ねるしかない。戦争ではなく平和を希求する想像力が必要だ。

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