さいたま市は「イタリア野菜」でなぜ日本一の産地になったのか
さいたまヨーロッパ野菜研究会 北康信会長(埼玉県)
カラフルミニトマト、イタリアナス、ビーツ、カーボロネロ、スティッキオ、スイスチャード、イタリアンパセリなど約60種類の多彩な野菜栽培で注目されているのが埼玉県「さいたまヨーロッパ野菜研究会」、略称「ヨロ研」だ。約20軒の農家「農事組合法人FENNEL」と、種苗会社、レストラン、流通会社、JA、市などが連携している取り組みである。
■仕掛け人はレストラン経営者
「ヨロ研」会長の北康信さん(50)は、イタリアレストラン6店舗を経営する株式会社ノースコーポレーションの代表取締役。日本ソムリエ協会認定ソムリエ、日本ソムリエ協会理事でもある。
イタリア野菜の流通の仕組みがよくできている。さいたま市のトキタ種苗が開発した種を提供し、農家が栽培、それをJAの出荷場に運び、桶川市の食品流通会社・関東食糧がピックアップし、注文のあった飲食店に個別に運ぶ。飲食店は新鮮な野菜が手に入り本格的なイタリア料理が消費者に提供される。居酒屋ではバーニャカウダ、寿司屋で野菜寿司など多彩な野菜料理が提供されるようになった。埼玉県内だけでも1200軒以上の購入店が生まれ、さいたま市は一気にイタリア野菜の供給先として有名となった。JAの市場便で大田市場に運ばれ都内のホテルやレストランにも野菜が届く。