実質賃金の13カ月マイナスで思い出す…安倍元首相「10年前の発言」の答え合わせ
マイナスは13カ月連続だ。
厚生労働省が6日発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比3.0%減となった。大企業を中心とした賃上げの影響で名目賃金は増えたものの、物価上昇をカバーし切れていない状況。今後、防衛増税や社会保険料の値上げなどもあり、低賃金のまま物価上昇が続けば、家計は火の車になるのではないか。
忘れてはならないのが、ちょうど10年前の2013年6月5日に飛び出した安倍晋三元首相の発言だ。安倍氏がこの日、都内で講演した際、政府が掲げた経済政策をアピールしつつ、自信たっぷりにこう声を張り上げていた。
「1人あたりの国民総所得(GNI)は足元の縮小傾向を逆転し、最終的には年3%を上回る伸びとなる。10年後には現在の水準から150万円増やすことができる」
GNIとは、国内で生産されたモノやサービスの価値総額を示すGDPに、日本人や日本企業が海外で稼いだ所得を加えた指標のことだ。2012年度のGNIは1人当たり約403万円だったから、10年後、つまり、2023年には約550万円に増えているはず。