著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

慶応・清原勝児と「VIVANT」福澤克雄監督をつなぐ“幼稚舎出身”以外の共通点 「塾高」に多い留年者

公開日: 更新日:

福澤克雄氏は慶応大ラグビー部の日本選手権初優勝に大貢献

「塾高の場合、成績が悪かったり、出席日数が足りなかったら、平気で落第させるんです。近年はだいぶ減っているようですが、私が在学していた40数年前は学年に10人近くはいた。その大半は小学校最高峰とも称される幼稚舎の出身だった。育ちがよくて、のんびりしているヤツが多かったですから。中には2年続けて留年して"おっぽり"(おっ放り出す=退学)になる者もいた」(前出・文系教授)

 幼稚舎~塾高というコースを歩んで、清原勝児選手と同じく1年の時、留年したのが福澤克雄氏だ。「半沢直樹」や「下町ロケット」、放送中の「VIVANT」を手がけ、今ドラマで最も視聴率がとれる演出家と評される。「彼の場合は幼稚舎時代から続けていたラグビーが原因。当時のラグビー部は猛練習で知られ、勉強するヒマなどなかった。落第する部員が続出していた」とラグビー部OBは話す。

 オールドラグビーファンにとっては「福澤克雄」という名前よりも「山越克雄」のほうが馴染みがあるだろう。189センチ95キロの山越は慶応大ラグビー部でロックを務め、86年1月15日、トヨタ自動車を破り、日本選手権初優勝を果たしている。名字がなぜ変わったかといえば、両親が離婚し、母の姓を名乗るようになったからだ。母・和子さんは慶応の創設者・福澤諭吉のひ孫である。つまり克雄氏は、諭吉の玄孫(やしゃご)に当たる。

「克雄氏は慶応においていわばこれ以上ない血筋。その彼が落第した時は学内でちょっとした話題になりました。学校からすれば、そうした人物さえも特別扱いしないという姿勢が示せたわけです。そういう意味では有名人は狙われやすい。清原勝児君もスケープゴートにされた面はあると思う」(塾高元教師)

 もし塾高が優勝すれば、1916年以来2度目。「新たな伝説をつくってほしい」(文系教授)との塾生たちの思いは天に届くだろうか。泣いても笑っても、決着がつくまであと数時間である。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾