業務内容は「ただ立っているだけ」…実に単調だが、これがキツイ

公開日: 更新日:

警備員編

「ついにこうなった……」──。鏡に映った自分の姿を見てつぶやいた。「ドアマン募集」に応募したはずなのに、何のことはない、仕事の実態は警備員だった。ただし、子供のころに見ていたテレビドラマ「ザ・ガードマン」とはいささか趣が違う。警備会社から貸与された紺のスーツに深紅のネクタイ。「警備」の文字の腕章をはめて繁華街の店舗入り口に立つ。スーツ一着がウン十万円の高級ブティックだ。

 初日はベテランの佐橋氏(仮名)から指導を受けた。店舗近くの路上で待ち合わせし、ネクタイを締めて店の正面ドアの前で待っていると、女性スタッフが中に入れてくれた。佐橋氏は慣れた足取りで店内を歩き、奥のドアを指さして「荷物はここに置いてください」という。そこは2畳にも満たない狭い物置だ。床にカバンを置き、ドアのすぐそばに立つ。

 まもなく女性スタッフの「オープンします」の声でドアが開き、ブティックの一日が始まった。日当1万円。わたくし「林山警備員」のデビューだ。

 まずは佐橋氏が立哨を開始。私は少し離れたところで見学する。1時間経過したところで仕事内容を理解できた。ドアマン警備員の業務とは何か。それは、何もしないことである。白い手袋(「白手」と呼ぶ)をはめた両手をへその下で組み、背筋を伸ばして立つ。たまに客が入ってくると「いらっしゃいませ」と軽く会釈する。それ以外は無言。つまりは立っているだけ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  2. 2

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  3. 3

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  4. 4

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    石狩市民図書館(北海道)鮭、石狩鍋、俳句関連が豊富、新鮮な野菜も買える

  2. 7

    青森県の紅葉名所でクマが箱わな破壊し脱走の仰天…総入れ替えしたばかりだったのに

  3. 8

    クマ出没地域はどこも疲労困憊、我慢の限界…秋田では男女4人襲われ1人死亡3人重傷

  4. 9

    小川晶市長「ラブホ密会」の震源地…群馬・前橋市のナイトスポットで“まさかの声”続出

  5. 10

    倉田真由美さん「人生100年もいいけれど、一日一日を悔いなく生きたい」…夫の死を機に死生観・人生観に変化

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が

  2. 2

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です

  3. 3

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  4. 4

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

  5. 5

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  1. 6

    大食いはオワコン?テレ東番組トレンド入りも批判ズラリ 不満は「もったいない」だけじゃない

  2. 7

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  3. 8

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!