元側近が垣間見た小池都知事の素顔「トップに立つと『専制君主』の地が出てしまう」

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再開発にメディアを組み込み、黙らせる

 ──構成企業には読売・朝日の2大全国紙も名を連ねています。

 問題は今の新聞社、テレビ局が不動産屋になっていること。メディアを黙らせるために、昔は広告を通じてコントロールしようとしました。今は再開発利権に組み込めばいい。神宮外苑の再開発も同様です。「新秩父宮ラグビー場」の整備・運営事業には読売新聞、日本テレビ、フジサンケイグループのニッポン放送が関わっています。都庁記者クラブを構成するのは彼らであり、小池さんも新たなメディア統制の手段を当然、熟知しています。

 ──どうりで大手メディアは小池知事をほとんど批判しないわけです。

 都民ファーストの会も、小池さんにくっついているだけ。自民党でも、総理を批判するときは批判します。しかし、彼女の周囲には苦言を呈するどころか、対等に話せる人すら、もはや存在しません。彼女が大臣ならば上には総理がいます。その緊張感が勝手気ままを許しませんが、都知事の上には誰もいません。だから、彼女の「地」が出てしまう。

 ──「地」とは?

 専制君主の素顔です。当初は都庁官僚と都議会のドンだけで都の政策を決める、都民置き去りの「ドン政治」からの脱却を訴えていました。ドンには勝ちましたが、結局、ドンの権力が小池さんにスライドしただけでした。戦う敵がいなくなると、彼女は専制君主になってしまう。そうでなければ「排除」なんて言葉は、たやすく口に出てきません。

 ──あの発言が飛び出した会見には私も参加。当時は「安倍1強」体制を脅かし、「初の女性総理誕生か」と注目を浴びていた。小池知事も今まで見たこともないほど異様に高揚していました。

 もう政権を取ったも同然だという雰囲気でしたね。当時の民進党から希望の党に合併後、誰を受け入れるか。その選別は選挙に勝ってから内部で調整すれば良かったのに、「総理の座が見えてきた」という気持ちから、「地」が出てしまったのでしょう。政党であっても、小池さんをトップの座に就けてはいけません。

 ──16年9月、豊洲市場地下の「盛り土なし」問題が発覚した際、小池知事は「全都庁職員を粛正したい」と強い口調で語っていました。

「排除」も「粛正」も普通はなかなか出てこない言葉です。希望の党が勝利し、小池さんが総理になっていたら国民は悲惨だったでしょう。てっぺんに立てば、間違いなく専制君主の地が出ます。

■3選を果たせば次は歴代最長を目指す

 ──そんな彼女に小島さんも味方したわけです。

 そうですね。反省しなければなりません。今、強調したいことは、小池さんを知事や総理大臣のようなトップにしてはいけないということです。抑制の利かない専制君主、「女帝」になってしまうからです。小池さんは今年で72歳。歴代都知事の退任時の最高齢は鈴木俊一氏の84歳で、いまだ5選を成し遂げた都知事はいない。今回3選を果たせば、彼女は最長記録を視野に入れてくるでしょう。それは都民にとっても、都庁にとっても、悲劇です。

(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ

▽小島敏郎(こじま・としろう) 1949年、岐阜県生まれ。東大法学部を卒業後、環境庁入庁。地球環境局長、地球環境審議官を歴任し、2008年退官。青山学院大学国際政治経済学部教授などを経て、16年、小池都知事のブレーンとして東京都特別顧問に就任。17~21年は都民ファーストの会事務総長を務めた。現在、早稲田リーガルコモンズ法律事務所顧問・弁護士。

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