「2024年問題」直撃で深刻なバス運転手不足…合同採用説明会で行われていた“争奪戦”の熾烈

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バス会社が持続可能な法整備を

 今年4月から「働き方改革関連法」が適用され、これまで運転手が退勤してから次の出勤まで8時間空ければよかったが、労働規制の強化で基本11時間(最低9時間)空けなければならなくなった。運転手を働かせられない時間が増え、人のやりくりがよりシビアになった。あるバス会社のブースにいた運行管理者が、運転手のシフト組みなど労務管理の苦労をこう吐露した。

「人手が足りな過ぎるため運転手の労働時間の計算がより複雑になり、シフト表を組むのは難解なパズル状態。常に自転車操業なので、急な欠員が生じれば休みの人に片っ端から電話をかけるか、営業所で寝ている運転手をたたき起こして、交渉します。そのとき、出勤要請に応じてくれるかは運転手との人間関係がデカい。運転手に嫌われたらおしまいで、普段から『お疲れさまです』と缶コーヒーを渡すなど、機嫌を取ります。今は僕ら管理者の方が立場が弱いですね……(苦笑)」

 たとえ人手が足りていなくても、決められた本数のバスは必ず走らせなければならない。

「公共交通機関なので、運休という選択肢はよっぽどのことがない限りあり得ませんよ。『運転手がつかまりませんでした』じゃないんです。あの手この手でやるしかないんです」(前出の運行管理者)

 大混乱のバス業界。それでも、現場の人々は歯を食いしばり、業務にあたっている。

「バスは子どもや高齢者の大切な交通手段で、なくてはならない仕事です。やりがいは間違いなくあるのですが、それだけでやっていくのは限界があります。国は人手不足の窮状を静観しているのではなく、バス会社が持続可能な法整備をしてほしいですね」(前出の運行管理者)

 悲痛な声は、届くのか……。

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