高齢者のふらつきは持病の薬に原因あり 笑福亭鶴瓶は「殺虫剤打たれたゴキブリみたい」に

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高血圧と糖尿病の薬で意識障害に

 高血圧糖尿病などの薬も怖い。それらの薬で血圧や血糖値が下がり過ぎることによっても、意識障害を起こして倒れ込むことがあるのだ。

 2018年1月9日の早朝、前橋で車を運転していた当時85歳の男性は突然、意識を失い、制御を失った車は対向車線の路側帯に突っ込み、自転車で走っていた女子高生2人をはねる事故を起こした。その意識障害を起こした原因が、前立腺肥大症などによる排尿障害の薬だったのだ。

 前立腺肥大症に処方される薬の一部は、ルーツが降圧薬のひとつα遮断薬で、その副作用として血圧低下が知られる。前立腺肥大症としての服用だけだと、意識障害を起こすほどの血圧低下はまれだが、持病に高血圧があってほかの降圧薬との作用が重なると、血圧が下がり過ぎる恐れがあるという。その後の裁判で、男性は事故を起こす前から、運転中のめまいなどで物損事故を起こしていたことが明らかになっているから、作用が重複していた恐れはあったかもしれない。

「糖尿病による薬は低血糖による意識障害を起こすことがあります。中でもインスリン製剤とSU薬はそのリスクが高いのです」

 高齢者は、薬が重複しなくても、その作用が強く現れやすい事情もあるという。

「薬は肝臓で分解されて腎臓で排泄されますが、高齢者はそれらの機能が衰えていることがあります。そうすると、薬の分解も遅れて、薬効成分も体に長くとどまるため、これらの臓器の機能が十分な若いときに比べて副作用が強くなりやすいのです。多剤併用の影響は一般に6種類以上ですが、2、3種類で起こる人も少なくありません」

 若いときは気にならない薬の影響も、高齢者は決して侮れず、油断禁物ということだろう。そんな不調の原因が薬とは思い至らないことに多剤併用の怖さがある。こうした副作用の影響を防ぐには、どうすればいいか。

「薬の飲み始めや切り替えの直後に感じた症状はどんなささいなことでも医師や薬剤師に伝えること。多剤併用の方は、多くが複数の医療機関にかかっていますから、お薬手帳をひとつにまとめて必ず持参することです。そして何よりも6種類以上の薬を服用している人は高齢者医療に詳しい医師に相談して、全体的な薬の見直しを検討することが一番です」

 鶴瓶は周りのサポートで大事に至らなかったが、「年のせい」と軽く考えていると大事故を起こしたり巻き込まれたりしかねない。気になる症状があれば、かかりつけ医に早めに相談するのが無難だろう。

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