水道料金の値上げは行政の怠慢か? 埼玉県本庄市は4月から40%増…郊外や過疎地を襲う“負のスパイラル”
外食や菓子から鉄道運賃、テーマパーク入場料まであらゆるものが値上げされるこの春、物議を醸しているのが水道料金の値上げだ。
4月から平均でおよそ40%引き上げられるのが埼玉県本庄市。水道管や浄水場などの老朽化に伴うもので、市民生活に与える打撃は大きいが、郊外だけの問題ではないのだ。4月から平均33.66%の段階的な値上げがされる埼玉県戸田市など、都市部やその近郊でも同様の措置が取られ始めている。
2046年までに、全国1243水道事業体のうち約96%で値上げが必要になるという。
「水道料金など公共サービスの大幅な値上げは全国的な問題です。特に財政状況の悪い郊外や過疎地域ほど値上げせざるを得ず、人口減、税収減、不動産価格下落といった負のスパイラルを招くことになるでしょう」
こう話す不動産アナリストの長谷川高氏は、以前から水道の老朽化を目の当たりにすることがあったという。
「東京の感覚だと信じられないですが、私が以前訪れた地方の宿泊施設では湯船の底に砂が沈んでいることがありました。自治体ごとに水道給水条例がありますが、多少の砂や変色などで瑕疵は問えないようで、敷設してから何十年も経過しているため鉄管が腐食して穴が開くのは当然との考えです。物価上昇に伴う修繕費の高騰で、財政力が乏しい自治体ほど市民の負担増は避けられないでしょう」(長谷川高氏)