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西潟正人東京海洋大 非常勤講師

魚の伝道師。1953年、新潟生まれ。魚好きが高じて全国の海岸線を巡り、神奈川県逗子市で地魚料理店を20年間営む。2017年から東京海洋大で魚食文化論の非常勤講師を務める。

風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

公開日: 更新日:

佐島

■カツオ2キロ。刺し身に酒盗、ハラスは塩漬けにしよう

 佐島港は、三浦半島で最高峰の大楠山(241.3メートル)の麓にある。古くからカツオ漁の生エサとなるカタクチイワシの供給地として知られる。遠く四国などから来るカツオ船団にとっては、重要な基地であった。

 カツオは、琉球列島辺りから黒潮にのって北上し、やがて南下する。カツオ節には脂の少ない上りのカツオがよく、取れたては浦賀で加工され、江戸へ運ばれたという。

 佐島では専業漁師だけでなく、遊漁船もカツオを狙う。すでに初ガツオの季節は到来している。カツオを本ガツオと呼ぶのは、近似種のソウダガツオより格上とするからだ。色ツヤ、香りの違いは、極上を味わえば納得する。ゴールデンウイークの佐島散歩なら、土産の一つはカツオだ。

 佐島漁港では昼過ぎに入港する漁船もあれば、入札前の夕方に水揚げする船もある。運がよければ、そんな光景も垣間見られる。

 競りとは違う無言の入札が終わると、仲買人は素早く魚を運び去る。港の傍らには、必ず魚屋があるものだ。取れたての魚が、水しぶきを落としながらフォークリフトでやって来た。

「丸吉商店」でお目当てのカツオは、どれも2キロ前後で1キロ当たり2000円ほど。はしりでやや高めだが、1キロでは味わいも頼りないから、家庭ならおすすめの大きさだ。魚は一匹買いすると、無駄なく使えて安上がりになる。

 刺し身はもとより内臓は酒盗にして、中骨でダシを取り、ハラスを塩酢漬けにするなど、酒の肴にも事欠かない。

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