人形町「喫茶去快生軒」赤いソファーに木のテーブルで蘇る高校時代の思い出
大正8年にミルクホールとして創業
正式には喫茶去快生軒。現在は4代目の佐藤太亮さんがおいしいコーヒーを入れてくれる。昭和の雰囲気と書いたが、はるか昔の大正8年にミルクホールとして創業し、昭和40年代に現在の店舗に建て替えられた。なるほど。だからアタシらの世代には懐かしく感じるのだろう。アタシらが喫茶店に入り浸っていたのは昭和50年代初期の頃だ。
赤いソファに木のテーブル。そして古いコーヒーサーバーやミルが並んでいて、座っているだけでその時代を思い出させてくれる。入り口横の席に陣取りブレンドとチョコレートケーキを注文(セットで1100円=写真)。実はアタシ、チョコレートケーキには目がない。あれば必ず注文する。このケーキを大きめにカットして口に放り込み、酸味の効いた濃いブレンドコーヒーをすする。苦みと甘みと酸味が溶け合い口中は幸せいっぱい。サイコ~。近頃のコーヒーチェーンでは味わえない昭和レトロ喫茶店メニューだ。
唯一、昔と違うところは店内禁煙ということだけ。時代が変わったことを痛感する還暦男。ま、アタシもたばこをやめてしばらくたつので禁煙の方が居心地がいいのだけれど。周りを見ると、お客さんは中高年の女性が中心で、若いカップルやサラリーマン風が数人。女性グループの話に聞き耳を立てると(失礼)、どうやら明治座の帰りらしい。手には西京漬けの詰め合わせや人形焼きなど、お土産を大量に買い込んでチーズケーキとメロンクリームソーダで盛り上がっている。同世代の男性諸氏にこの元気を分けてあげたいネ。さて、ミステリーでも読みながらゆっくりしよう。これが正しい喫茶店での過ごし方だ。ではまた。 (藤井優)
○喫茶去快生軒 中央区日本橋人形町1-17-9