1カ月の「冷水シャワー」で体に変化を起こる…弁護士とその母親の不調が即解消
こうした体験談は、本書に幾度となく登場する。もちろん自分の身体に革命を起こさんとする人を後押しするものだが、かかりつけ医に相談もなく薬や治療を止めるような無謀なことを勧めているわけではない。あなた自身の健康増進に役立つ簡単な方法を伝えたいだけだ。
以下、試してみてほしいエクササイズを紹介する。
【やってみよう】コールド・トレーニング①冷水シャワー
①1分間ゆっくり呼吸する
温かいシャワーを浴びながら、3~5秒かけてゆっくりと息を吸い、3~5秒かけて吐く。鼻から深く息を吸って、ゆっくり吐く。これを1分間続ける
②シャワーの温度を少しずつ下げる
シャワーの温度を5度くらいずつ3回ほど下げていく。途中で呼吸が止まったり速くなったりするかもしれないが、そこで大事なのは呼吸のペースを戻すこと。呼吸を操れたとたん冷たさが違って感じられるはずだ。ただし慣れるまでは絶対に無理をしない
③シャワーをもう一段階冷たくする
②の温度に慣れたら、また温度を下げる。呼吸が変わったら、ゆっくりとした呼吸に戻そう。これを2~3回繰り返して1~2分間、冷水シャワーを浴びる
冷水シャワー中にリラックスできなければ身体を「こする」技法を取り入れる。手ですくった冷水を身体にかけるやり方でもいい。そのまま腕や足をマッサージしよう。冷たさが少し和らいで感じられるのではないだろうか。
たっぷり1か月かけて、少しずつ低温に慣れればいい。
こんなやり方もある。
①足だけに冷水をかける
②手と腕、続けてだんだんと全身に冷水シャワーをかけていく
③全身に冷水シャワーをかけても平気になったら、1分間浴び続ける
【やってみよう】コールド・トレーニング②ハンド・イン・アイス
①大きめの容器に冷水を入れ、氷を加える
容器はバケツでもボウルでも、両手がしっかり入ればなんでもいい。冷蔵庫に製氷機がないなら、ペットボトルやプラスチック容器に水を入れて冷凍庫で凍らせば、手軽にたっぷり氷をつくれる
②両手を氷水に入れる
氷の量によっては水温が0度近くまで下がるため、慣れないうちは血管がギュッと収縮する。最初はヒリヒリとした痛みを感じるだろう。だが痛みはすぐに消えていく
③両手が温かく感じられたら、手を出す
氷水に入れた手が温かく感じられるというのは、奇妙に聞こえるかもしれない。これは身体が、体内に備わる「暖房機の温度調節つまみを強に回した」からだ
2分間経っても手が温かくならなければ、そこで終わりにしてよい。冷水シャワーより水温が低いためキツく感じるかもしれないが、短時間で手軽にできるわりに効果が高い。
なぜ、氷水に入れた手が温かく感じられるのだろうか。ヴィムによれば、それは血管壁を強くし弾力性を高めるホルモンによる「副作用」だという。身体の一部を冷水に浸けると、血管を強化するホルモンと凍死を防ぐホルモンが放出される。これらの効果で血管が収縮せずに機能し、血流が保たれるということだ。
「冷水シャワー」もしくは「ハンド・イン・アイス」は、最初の「コールド・トレーニング」にぴったりだ。これを1か月続けてみよう。続けられたら次に進める。冬なら戸外で泳いでもよい。本書が出版されて2年かそこら経ったころに、大勢の人たちが冬に川や海で水泳を始めたら見ものではないだろうか。
▽ヴィム・ホフ(Wim Hof) 1959年、オランダ生まれ。極寒に耐えられる能力を活かし、現在20もの世界記録(北極圏でのハーフマラソンのタイムや、氷の詰まった浴槽に居続けられる時間など)を保持しており、その様子がBBCにも取り上げられTEDで語られた。こうした偉業のほか、人体への効果が科学的に証明されたヴィム・ホフ・メソッドの考案者として世界中の何万もの人々に感銘を与え、「呼吸エクササイズ」と「コールド・トレーニング」の実践を通して、彼らが失いかけていた生命力を取り戻させてきた。共著書に『アイスマンになる(Becoming the Iceman)』がある。
▽コエン・デ=ヨング(Koen De Jong) アムステルダム在住。呼吸とランニングに関する6冊の著書があり『マラソン革命(Marathon Revolution)』はオランダでベストセラーになった。ヴィパッサナー瞑想の実践者でもある。ヴィム・ホフに出会って以来、寒中水泳を楽しむようになった。愛読書はミヒャエル・エンデ『モモ』。
▽小川彩子(おがわ・あやこ) 学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得退学。翻訳者。おもな訳書に『ハーバード集中力革命』(サンマーク出版)、『メジャーリーグの書かれざるルール』(共訳、朝日新聞出版)、『一流のプロは「感情脳」で決断する』(共訳、アスペクト)、『世界の名画 1000の偉業』(共訳、二玄社)、『結婚したい。でも、愛だけじゃ結婚できない』(オープンナレッジ)、『電子メールプロトコル詳説』(ピアソン・エデュケーション)などがある。そのほか技術文書の翻訳や翻訳書の編集などに携わっている。