月経不調はストレスで悪化する? “脳疲労”と生理痛を軽くするセルフケア【専門医監修】

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コクハク

「生理痛はいつものこと、仕方ない」「PMSは気のせい」--などとガマンしてそのままにしていたり、鎮痛薬でやり過ごしたりしていませんか?

 月経まわりの不調、実はストレスによる“脳疲労”や生活習慣によって、更に重い症状になっている可能性があるそう。

 今回の記事では、仕事に家事にと忙しいキャリア世代の女性にこそ知ってほしい、月経不調を軽くするコツやケア方法を、婦人科医・心療内科医・健康スポーツ医で脳疲労の専門家である、横倉恒雄先生に伺いました。

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ストレスが不調を悪化させるワケとは?

 仕事、人間関係、家庭、そしてネット社会にあふれる膨大な情報…。休む間もない日常の中で、私たちは知らず知らずのうちに多くのストレスを受け、脳は常にフル稼働しています。

「そういった日々のストレスの蓄積が、自律神経やホルモンバランスを乱してしまい、実は、月経まわりの不調を悪化させる要因になっているんです。

 婦人科系の不調でクリニックに来ている患者さんに検査をしてみると、ストレスの多い生活を送っている人ほど、生理痛(月経困難症)やPMS(月経前症候群)を抱えているケースが目立ちます。その背景にあるのが、ストレスによる“脳疲労”です。

 強いストレスが続くと、上記イラスト右側の脳の状態のように、脳の理性をつかさどる部分(大脳皮質)がオーバーヒートして脳に大きなダメージを与えるようになります。

 小さなストレスでも、次第にストレスを大きく感じるようになってしまい、交感神経が緊張した状態がつづき脳が疲弊していきます。

 その結果、自律神経と女性ホルモン分泌の両方をコントロールしている間脳(に含まれる視床下部)の働きが乱れ、生理痛やPMSといった不調が悪化していくのです。

 しかし、後ほど紹介する“ストレスを軽く感じられるような習慣”を身につけていくことで、脳に余裕がある状態となっていきますよ(上記イラスト・左)」(横倉先生)

生活習慣も悪化の要因に

 月経まわりの不調は、女性ホルモンの影響だけでなく、冷えや血行不良に繋がりやすい生活習慣も大きく影響します。

「お腹が冷えてしまう服や長時間のデスクワークは、骨盤まわりの血流を悪くし、下半身の冷えやむくみにつながります。冷えは子宮の筋肉を収縮させ、痛みの原因となってしまうため、生理痛やPMSを悪化させる要因に。

 さらに冷えが続くと、交感神経が過剰に働き、頭痛や気分の落ち込みなどの症状が強くなってしまうこともあります」(横倉先生)

ダイエットが不調を招くことも
「急激な体重減少や痩せすぎ、慢性的な栄養不足等が続くと、間脳から指令を受けて女性ホルモンを分泌する下垂体の働きが鈍ってしまい、結果、生理痛やPMSといった不調を招きやすくなります」(横倉先生)

 ダイエットの際は、そういったリスクも頭に入れておく必要がありそうです。

月経まわりの不調を軽減!今すぐできるセルフケア

1. ストレスケア
「ストレスによる脳疲労を軽減するには、五感を刺激することが効果的です。視覚・味覚・触覚・嗅覚・聴覚の5つの感覚は、脳と直結しており、心地よい刺激が脳にご褒美を与えることとなり、ストレスの軽減につながります。

 わざわざ時間を作らなくても、ちょっとした隙間時間に五感で感じることを意識して。

 例えば、信号待ちで空を見上げてみる、気候が良い時には風や花・鳥の声などを感じながら歩いてみましょう。食事はいちばん五感を使いやすいので、スマホを見ながら食べたりせずに、香り・色・見ため・味わいなどを満喫しながら食べてほしいです。

 また、動物をなでる等のスキンシップは幸せホルモンと呼ばれる“オキシトシン”の分泌にもつながります。

 五感を意識して生活する習慣が身に付くと、脳が上手にストレスを軽く感じられるようになり、月経まわりの不調を軽くすることに役立ちますよ」(横倉先生)

2. 冷え・血行不良対策
「お腹が出ているファッションや下着、きついガードル・ジーンズ等はなるべく避けましょう。

 また、日頃からお風呂での半身浴を習慣にすると、骨盤内の血流がよくなり、月経不調・痛みの原因となるホルモン代謝を促進してくれるので、症状軽減の効果が期待できます。

 40℃くらいお湯に、汗がジワッとにじむ程度まで浸かることがコツ。体を芯から温めることができます。ただし、過多月経や子宮筋腫の場合は、血流が促進されることで出血が増えることもありますので注意しましょう。

 座りっぱなしの仕事をしている女性は、下記のような骨盤まわりを動かす軽い運動を習慣にすると効果的です。

簡単エクササイズ A 【“骨盤を前後に”動かす】

1. 椅子に浅めに腰かけ、両足を床につける(背もたれに寄りかからない)
2. 背筋を伸ばし、頭を動かさないように意識しながらお腹をへこませて、骨盤を後傾(腰を丸めるイメージ)
3. 次に、背筋を伸ばしたまま、骨盤を前傾(腰を軽く反らす)

 2と3をゆっくりと繰り返す。1日10~20回を目安に。

【効果】骨盤の柔軟性を取り戻し、血流・冷え改善に。猫背・腰痛改善にも。

簡単エクササイズ B 【“腸腰筋(太ももの付け根)を刺激“する】

1. 椅子に浅めに腰かけ、両足を床につける(背もたれに寄りかからない)
2. 右足の膝を曲げたまま、斜め外側に向かってぐるっと半円を描くように回し、元に戻す
3. 左足も、同様にまわして、元に戻す

 左右10回ずつを目安に回す。

【効果】股関節のつまりを予防、血流・冷え改善。下腹ぽっこり改善にも。

 どちらも、座ったままできる簡単な運動ですので、デスクワークの合間やリビング等でぜひ習慣にしてみてください。

 不調がない時はエレベータやエスカレーターを使わず、できるだけ階段を使うようにするといいですよ」(横倉先生)

セルフケアで快適に!

 月経まわりの不調は、日常生活の中で“五感を意識する習慣”をつけることでストレスケアをしたり、日頃から“冷えや血流を良くするケア”を取り入れると、痛みなどをやわらげる助けになります。

「いつものことだから」とガマンしたり薬を飲んだりするだけでなく、簡単にできるセルフケアを取り入れながら、少しでも快適に過ごしていきたいですね。

(取材・文 入江由記)

(横倉恒雄/婦人科・心療内科医)

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