親の「成年後見人」に自分がなるという選択肢
判断能力が落ちてしまった人のさまざまな手続きや手配を本人に代わって行い、生活を支援する人のことを後見人と呼んでいる。後見には本人の判断能力が低下する前から契約を結んでおく「任意後見」、本人の判断能力が低下してから申し立てを行う「法定後見」の2つがあり、利用が多いのは圧倒的に法定後見の方だ。
法定後見はその権限により後見、保佐、補助の3つがあり、未成年者や破産者などを除き、原則誰でもなれる。ということは、高齢の親の後見人は子どもがなるのが一番と思ってしまうが、直近のデータでは全体の83%を司法書士、弁護士、社会福祉士といった第三者の専門職が占めている(最高裁判所家庭局資料から)。
成年後見人になるには家庭裁判所への申し立てが必要で、悪徳商法など不利益な契約から本人を守り、財産管理や介護サービスなどの契約締結を代理人としてスムーズに進める必要があることなどから、二の足を踏む親族が多いからと思われる。
一方、第三者に任せるデメリットもある。その最たるものが初期費用と毎月の出費だ。たとえば、家庭裁判所への申し立て手続きを法律の専門職に依頼すると20万円前後。当然のことながら、成年後見人としての報酬を支払わなければならない。管理する財産次第だが、毎月2万~6万円が目安になる。