「70代で車イス」と言われ…実演販売士のタイガー尾藤さん左足首の「骨棘除去手術」を振り返る

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タイガー尾藤さん(実演販売士/48歳)=左変形性足関節症骨棘障害

 左足首の骨棘除去手術を受けたのは2019年12月です。43歳のときでした。

 サッカー選手などに多い足首の障害で「フットボーラーズアンクル」ともいうのですが、足首の関節の骨が何度もぶつかり合うことで、棘状の骨が形成されてしまったのです。

 自分は小学2年から21歳まで野球をしていました。企業の野球部でプレーをしていた頃から、足首の捻挫などでくるぶし辺りの形が変わっていました。でも、若い頃はあまり痛くなかったんですよね。

 27歳でこの仕事を始めてからは、基本、朝10時から夜6時まで昼食以外はずっと立ちっぱなしです。そのうちに痛みが徐々に出始めました。初めは仕事終わりに「ちょっと痛いな」と思う程度でしたが、そのうちに夕方には左足をちょっと浮かしながら実演販売するようになりました。病院でレントゲンを撮っても骨に異常はないと言われて、原因はわからずじまい。気づけば左足を浮かしている時間の方が長くなっていました。

 それが33歳のとき、オリンピック選手に同行した実績のある整形外科医を紹介してもらうことができたんです。受診したところ、自分のこれまでの痛みの経緯をすべて見て知っているかのように言い当てられて、「うわっ、全部わかってもらえた」と感動しました。

 すでに状態がひどかったので手術を勧められ、「2~3週間入院すれば大丈夫」と言われました。でも、当時の自分は1年間に1週間休むのがやっとの頃。ちょうど名前が業界に認知され始めたときだったので、2~3週間も休むわけにはいかず、そこでは手術を受けませんでした。

 そのままズルズル数年過ごしてしまって、43歳を迎えたわけです。その間は、痛みを軽減するためにヒアルロン酸注射を打ちに、月1回ペースで通院しました。痛みを軽減するための注射なのに、それがものすごく痛い注射で、いつも「行きたくない」と思っていました。

 注射が苦手なことは認めますけど、こう見えて痛みには強い方で、たいていのことは平気です。でも、あの注射は嫌でしたね。まず、針を刺してから注入すべきポイントを探してグリグリされるんです。次にヒアルロン酸がグーッと入ると、足が破裂するような感覚があるのです。あまりにも骨棘が大きいせいで液が入りづらく、ポンと音を立てて注射器をはじき返してしまうことも1~2回ありました。

 手術を決意したのは、腰痛が出始めてしまって、先生に「このままだと70代で車イスだよ」と言われたからです。手術は骨棘を削るだけ。足首の関節をボルトでガッチリ固定する手術も提案されたのですが、「そこまではまだしたくない」と思い、削るだけの手術を選択しました。

 手術は怖かったです。「自分だけ全身麻酔が効かなかったらどうしよう」と不安で不安で。体中から不安があふれていたんでしょうね。看護師さんが「大丈夫ですよ。怖くないからね」と幼稚園児をなだめるように言ってくれたのが、とても恥ずかしかったのを覚えています。でも、気づいたときは病室にいました。

 麻酔が切れたときは痛かったですよ。ギプスで固められているとはいえ、松葉づえでトイレに行くのにどれだけ時間がかかったことか。左足の小指がちょっと床に着いただけでも激痛でしたから。

 こんなに聞こえるんだと思ったのは、同部屋の人のし瓶の音。歩けないのですから仕方ないですけど、夜中は特に響きましたね。

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