秋バテによる「睡眠負債」をトマトで改善!!
災害級の「異常な夏」
今年の夏は9月になっても全国各地で38度を超えるところが少なくないなど異常な暑さが続いている。
そんな酷暑の影響から今、睡眠の不足や睡眠の質の低下を訴える人が増えているという。睡眠のトラブルは放っておくと体調の悪化を招き、重篤な病を引き起こすこともあるというから事態は極めて深刻だ。
気象庁の発表によると今夏の日本の平均気温は平年と比べて2.36度も高く、1898(明治31)年に統計を取り始めてから最も高くなり、この数字はこれまでで最も高かった。
これを受けて東京では6月から8月までの3カ月で8341人が熱中症で搬送されて2年連続で過去最高を更新。これを見ても今年の夏が災害級と言ってもいい異常な高温だったことが分かるだろう。
「秋バテ」がもたらす「睡眠負債」
今年の酷暑は人々の毎日の生活にもさまざまな弊害をもたらしている。
その一つとして今、大きくクローズアップされているのが「睡眠負債」だ。
日本の夏は高温多湿で蒸し暑く、もともと睡眠の質が低下しがちだ。そして秋になり比較的気温が落ち着いてくるにつれて眠りやすくなってくるのが普通だ。しかし、今年ばかりはそうもいかない。
体に溜まった夏の疲れで自律神経が乱れることによる体調不良、いわゆる「秋バテ」のために必要な睡眠時間に対して実際の睡眠時間が足りていない状態が積み重なる「睡眠負債」が生じ、いつまでも快眠が得られない状況が続いてしまうからだ。
こうした傾向はすでに昨年から顕著になっている。昨年9月「ちょうどよい」日光浴の目安時間を提案するデバイスとアプリを提供する日本ゼオンが全国の20〜60代の男女1008人を対象に行った「秋バテや睡眠の質に関するアンケート調査」でも例年より不調を感じる人が6割以上に上り、3割は「秋バテ」の可能性が見られた。また、睡眠の質は「夏と変わらない」人が6割おり、3人に1人が「夏より低下した」と回答している。
■身近な食品で「睡眠負債」を解消
人間にとって睡眠は心と体の疲労回復に重要な働きをする、なくてはならないものだ。それは今さら言うまでもないだろう。夏から続く「睡眠負債」の解消は健康維持のため最優先で取り組まなくてはならない課題なのだ。
そうした中、その課題解決に力を発揮してくれる食品があるという。しかも、それはどこの家庭にもある、ごく普通の身近な食品だというから大いに気になる。注目の食品、それはズバリ「トマト」。毎日の食卓にもさまざまな形で登場するポピュラーな食品だ。
トマトの栄養成分「GABA」と「リコピン」に期待が
トマトにはカリウム、メラトニン、クエン酸などさまざまな栄養素や機能性成分が含まれていることが知られているが、トマトの健康効果に詳しい糖尿病内科医で東洋医学医の工藤孝文先生は「睡眠負債」の回復を考えた場合、特に注目すべきは「GABA」と「リコピン」という2つの成分だと言う。
「GABAは副交感神経を優位にすることで心と体をリラックスした状態に導き、自然な眠気を促してくれることで深い眠りへと誘ってくれる効果があります。また、夜間の睡眠の質を向上させ、朝までぐっすり眠れるようにサポートしてくれたり、寝つきから熟睡まで睡眠の全過程をバランスよく保ってくれるので、これらの相乗効果によって睡眠の質を高めてくれることが期待できるのです。トマトは野菜の中でもGABAの含有量が最も多いことでも知られています」
一方、リコピンには継続摂取することで食後の血糖値の上昇を緩やかにし、血糖値スパイク(食後30〜90分の間に血糖値が急激に上昇し、その後急激に下降する現象)を防止する効果がある。一般的に血糖値スパイクの防止は、日中の強い眠気やだるさの防止にも役立つと言われている。
「睡眠負債が蓄積してしまっている方は血糖値が高い傾向がありますが、リコピンはその対策としても効果が期待できます。トマトはGABA、リコピンの2つの働きで夏の睡眠負債の回復をトータルでサポートしてくれる優秀な食材と言えるでしょうね」
■トマトジュースで理想の睡眠を手に入れる
トマトが睡眠の改善、さらには体全体の健康にいいことはよく分かった。では、トマトは1日にどのくらい、どのように食べるのがいいのだろうか。続けて工藤先生に聞いてみた。
「1日にGABA100㎎をトマトで摂取しようとするなら6~7個食べる必要があります。しかし、いくらトマト好きでもそれだけの量を食べるのはなかなか大変です。そこでおススメしたいのが濃縮タイプのトマトジュース。これなら200mlで手軽に摂取することができます。飲むタイミングは睡眠の質を高めたいなら寝る30分前、昼間の眠気防止なら15時頃がいいでしょうね」
たしかにトマトジュースならいつでもどこでも気軽に飲める。これで理想の睡眠が手に入るのなら言うことなしだ。