著者のコラム一覧
中川淳一郎編集者・PRプランナー

1973年生まれの編集者・PRプランナー。多数のウェブメディアの記事にかかわる。日刊ゲンダイ「週末オススメ本ミシュラン」担当。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『それってホントに「勝ち組」ですか?』など。

Xの焼き鳥動画に賛否両論続々…アンチにぜひとも言いたい、鳥もサバも生で食べる九州の食文化

公開日: 更新日:

鹿児島・宮崎で鳥刺しは1日3万トンも食べられる日常食

 このように両側からの意見が大いに注目されたわけだ。厚労省の、「食中毒統計資料(2025年版)」の中身を見てみよう。全体の事件数は1172件で患者数は24727人、死者は2人だった。亡くなった2人のち、1人は腸炎ビブリオが原因で、もう1人は植物性自然毒だった。

 これを施設別に見ると、原因施設が判明したケースは985件。家庭85件で、老人ホーム等の「事業場」85件、学校14件、病院3件、旅館50件で、飲食店が658件と突出している。そのほか販売所45件、製造所19件、仕出屋44件、その他16件で、不明187件だ。さらに患者数を都道府県別にみると、最も多いのは兵庫県3878人で、愛知1999人、北海道1418人と続く。宮崎は201人で鹿児島は282人だった。人口比で見ても宮崎・鹿児島が突出しているわけではなく、全体として決して多くはないのだ。

 気になるのは食中毒を起こした原因だろう。圧倒的に多いのは18566人の患者を生んだノロウイルスである。牡蠣をはじめとする二枚貝が感染源になりやすいイメージがあるかもしれないが、牡蠣などにとっては“濡れ衣”。食品分析開発センターによると、牡蠣によるノロウイルス発生件数は年によって違いはあるものの、大体全体の2割程度。加熱した弁当や総菜などでも発生する。

 いよいよカンピロバクターで、このカンピロバクターは細菌に含まれる。「細菌」分類の4226人の患者の中でカンピロバクター・ジェジュニ/コリは、1位のウエルシュ菌の1260人に次ぐ1226人。「ジェジュニ」と「コリ」はカンピロバクター属の細菌で、いずれもカンピロバクターの仲間。前者が鳥と牛、後者が豚に保菌されている。カンピロバクターによる食中毒は、全体からみてわずか5%ほど。決して多くはないことがお分かりいただけたであろう。さらにカンピロバクター食中毒が原因にもなるギランバレー症候群については、感染者の1000人に1人(0.1%)とされている。

 専門家の意見や、食に関して詳しい一般の人々の意見を見たうえで、実データを見てきたわけだが、そこまでカンピロバクター食中毒が多いわけではない(もちろん多いと捉える人もいるだろう)。ただし、「殺人ユッケ」の焼肉チェーンや、2012年の生レバー禁止など、管理や捌き方が杜撰な店のせいで一部食文化が禁止されるのは、いかがなものか。そう思うのである。私は佐賀県唐津市在住で、鶏のたたきはスーパーで購入できる。スーパーで流通するほど、管理が徹底されているのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    江角マキコさん「落書き騒動の真相」を初めて語る…人気YouTuberの配信に抗議

  2. 2

    『スマスロ ミリオンゴッド』導入から4カ月、目立つ空き台の裏でファンが期待するホールの対応

  3. 3

    消費税減税打ち切り時の現金支給案に経済界が不満「結局は時間とコストのムダ」

  4. 4

    横綱豊昇龍の休場より気がかりな“心の不調”…不眠と食欲減退で体重約10キロ減の不安

  5. 5

    東京の下町3兄弟「足立・葛飾・江戸川」安さだけじゃない意外な魅力 問題視された治安は今や改善

  1. 6

    テレ東「日本3大吞み食べドラマ」でも栗山千明「晩酌の流儀」に注目するワケ

  2. 7

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 8

    「カレーハウスCoCo壱番屋」の“親離れ”は吉と出るか? ハウス食品が株売却検討の波紋

  4. 9

    「男系」どころか「フカ系」? 神武天皇を持ち出す"皇統2600年論"と神話の奇妙な関係

  5. 10

    裁判沙汰…これは、むごくないか自治医大の奨学金制度