局部麻酔で目にメスが…シンガー・ソングライター柿島伸次さん網膜剥離の手術を振り返る
柿島伸次さん(シンガー・ソングライター/60歳)=網膜剥離
2023年のことです。それまでなかった飛蚊症が急に増えたと感じてから2週間ほどした頃でした。ウオーキングの最中、直感的に「あ、剥がれた!」とわかる異変が起こりました。一切れのバウムクーヘンのように扇形に右目の視野が欠けたのです。そこから目の手術を大小合わせて6回受けまして、今も通院中です。
ウオーキング中の異変の翌日、近所の病院へ行くと、すぐに大きな病院を紹介されました。その日のうちに訪れて検査を受けると、即「網膜剥離」と診断され、即入院、即手術という運びになりました。ところが、「急を要する」「失明の危険がある」と言われながら、新型コロナ感染症の検査結果がなかなか出ず、結局、手術は翌日に持ち越し。その間にも右目の視野欠損が大きくなっていくので不安でした。剥離が黄斑部(網膜の中心部)まで達してしまうと失明だと聞きましたから……。
おかげさまで、失明前に手術となりましたが、手術中は苦痛でした。局部麻酔で目にメスが入る瞬間から目をそらせないことが気持ち悪く、1時間半か2時間ぐらい動いてはいけない緊張状態が続きました。
まずは硝子体という目の中を満たしているゼリー状の組織を取り除き、眼内レンズを入れます。そこへガスを入れて、ガスの圧力で網膜を外側へおしつけるのです。
術後はガスが抜けるまで「下を向いていること」を強く指示されました。上を向いてしまうとガスが適切な位置に当たらないため網膜が正しくつかず、再手術の可能性もあるそう。起きている間はもちろん、寝るときもうつぶせが厳守。1週間で退院しましたが、トータル2週間はうつぶせ生活が続きました。地獄でしたね。
もともとが強度近視だったので、網膜剥離になりやすい目でした。しかも加齢によって硝子体がゼリー状から液化する年齢に差し掛かって、より一層剥がれやすくなっていたようです。
眼内レンズによって、右目の視力は良くなりました。でも今度は「不同視」という状態になりました。左右それぞれの視力が違いすぎて、メガネを作ると左右で物の大きさが違って見えるのです。それでメガネをかけられなくなりました。
1年間は真っすぐな線が曲がったり、欠けたりして、人の顔もピアノの鍵盤もグニャリと歪んで見えました。距離感がつかめず、階段から転げ落ちたのも2回ほど(笑)。そんなことが自分に起こるとは思っていませんでした。
まともに物が見えるようになったのは、左目の白内障を手術してからです。白内障は軽症で年齢的にもまだ手術は早かったのですが、生活に支障を来していることをわかってくれた年配の先生がすすめてくれました。左目に眼内レンズを入れたことで左右差が縮まり、生活が落ち着きました。
ところがその1年後、左目の網膜に小さな穴があき、日帰りでレーザー手術を受けました。さらにその半年後には、右目の「眼内レンズ脱臼」という事態が起きました。どうやらチン小帯という水晶体を支える細い糸の組織が切れて、眼内レンズがズレたようです。
それで行ったのが「強膜内固定手術」です。白目にレンズを直接縫い付けるという珍しい手術で、目の表面にレンズがあるのでコンタクトレンズは使用できなくなりました。術後には、強い乱視になることが確定していました。メガネでなんとか調整できますが、メガネなしでは生活できないくらいの酷さです。


















