大手がエリートを高給優遇 大学生のマインドはこう変わる
「殺伐とした人間関係になりそうだ」――。こんな声が上がっているのが大企業が次々に打ち出している新卒採用だ。
ソニーはこの春、入社1年目の新人に等級をつける制度を始めた。AIなどの専門性の高い技術者は一般の大学院新卒社員よりも給料が高く、最大で2割増しの730万円になるという。来月から等級付けが実施される。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、優秀な若者を入社後最短3年で子会社の幹部に抜擢し、1000万円以上の年収を支給。欧米勤務では最大3000万円という破格の待遇を検討中だ。
くら寿司はTOEIC800点以上で簿記3級以上の新卒者の中から初年度の年俸が1000万円の人材を採用する。経済界はフレッシュマンを超エリートとその他大勢に差別化しつつあるのだ。
「これは経団連の意向を受けた方針です」とは人事ジャーナリストの溝上憲文氏だ。
「経団連の中西宏明会長は若手を育てる余裕はない、即戦力が最重要といった発言をしています。ソニーなど有名企業3社が新卒者を選別する方針を打ち出した以上、今後は中堅企業までが『試しにやってみよう』と追随するのは間違いありません。そうなれば、学生はどこの大学のどの教授から何の講義を受けたかという実績が重要になる。のんびり文学に浸る暇があったら、法務やマーケティングなどの実学を身につけろという風潮も高まります」