TOBで珍事も まだまだ大きい「前田製作所」の水準訂正余地
先週20日、中堅ゼネコンの前田建設工業が傘下の前田道路に敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けるという珍事が起きた。これに対して前田道路は、前田建設に資本関係の解消を提案したという。
前田建設は前田道路の筆頭株主ながら、持ち株比率は24・7%にとどまり、持ち分法適用会社の位置づけだった。前田建設は昨年、前田道路を子会社化すべく資本関係の強化を申し入れたが、やんわりと拒否されたようだ。
前田道路は売上高こそ前田建設の半分弱に過ぎないが、自己資本は9月中間期で約2050億円と前田建設の8割に達する。無借金経営で自己資本比率は76・8%と財務内容は建設株の中では抜群に良い。前田建設は自己資本比率33・1%で、有利子負債は1300億円超と中堅ゼネコンとしては平均的な財務内容だ。おそらく前田道路は、前田建設と対等の関係を望んでいるのだろう。