コロナの教訓無視「円安と外需頼み」スガノミクスの行く末
アベノミクスの継承を明言している菅義偉首相。いま市場関係者が密かに注目しているのが、為替の動向だという。
菅は総裁選挙中、「安倍政権発足時は1ドル=70円台、株価は8000円」「現在は非常に厳しい経済環境の中で為替は105円前後、株価は2万3000円前後」とたびたび為替と株価に言及していた。
「意外かも知れませんが、菅さんは、為替には誰よりも敏感です。2016年3月に始まった財務省、金融庁、日銀の『国際金融資本市場にかかる情報交換会合』を設置したのも菅官房長官の意向だといわれています。円高局面では、この『情報交換会合』を通じて、市場を牽制してきました。菅さん自身が前面に出ることはなかったが、菅さんに近い金融庁長官の森信親氏を通じて、『情報交換会合』をコントロールしていたようです。菅政権では、1ドル=105円を割って円高が進行すれば、“介入”するとみられています」(金融関係者)
直近の「情報交換会合」は、1ドル=104円台前半まで円高が進んだ7月末に開かれている。
メディアでは、菅政権の経済政策について「円安は維持できるか」「株高に期待」のような論調が多い。しかし、このコロナ禍に「円安、輸出促進」が有効なのかどうか。金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。