父親の「匠大塚」を敵視した娘 取引しないよう圧力かける
大塚家具の創業者、大塚勝久氏は2015年7月1日に家具販売会社「匠大塚」を設立した。翌年には、大塚家具の株式売却や「ききょう企画」の社債償還で得た資金を投じ、日本橋デザインオフィスのほか、埼玉県春日部市の西武百貨店跡地に大型店を開設。本格的な事業を始動させようとしていた。
当初メンバーは5人だけだったが、日本橋デザインオフィスが開業する頃には50人にまで拡大。そのほとんどが、勝久氏を慕って大塚家具を辞めてきた社員たちだった。そのひとりが言う。
「勝久会長は、久美子社長との主導権争いに敗れたことで、多くの社員に迷惑をかけてしまったのではないかと心配していたのです。そんな人たちの受け皿をつくりたいと考えて新会社を設立したという面もあったと思います。入社面接で勝久会長は『よく来てくれた』と喜んでくれて……。『ポストも給料も特に希望はありません』と言ったんです。それでも給料は大塚家具の時の倍に。大塚家具でそれだけもらうには10年間トップ営業を続けなければならない。それほど期待してくれたことに感激しました」