大阪糖菓 野村しおり社長<1>「恋人の性格が丸裸になる金平糖作り体験で盛り返す」
GoToトラベルキャンペーンが一時停止になり、再開のメドが立たない中、観光業界は窮地に立たされている。
土産物を扱う菓子業界も苦戦を強いられることに。大阪糖菓(本社・八尾市)は、観光地で売られている金平糖の製造を行っており、昨年5月の緊急事態宣言下では売り上げが半減したのだという。
「京都や金沢、長崎が主な販売先ですが、新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が激減し、売り上げが落ち込んでいます。特に中国から観光客が押し寄せる春節は例年なら書き入れ時なのですが、昨年はピタリと注文が止まってしまいました。そんな状況を打開すべく、ツイッターで金平糖のことを『嫁入り先がありません。身一つ(バラ)でも箱入り(袋入り)でも構いません。どなたか助けて下さい』と書き込んだところ、拡散していただき、オンラインショップでの売り上げが伸びて助かりました」
コロナ禍の大変な時だからこそ、時間や労力はたっぷりあるという。
「新商品の開発にも力を入れています。柏原市とのコラボ企画で作った『柏原ぶどうのおいしい金平糖(税込み486円)』や本社のある八尾市の特産品の若ごぼうを使った『やおの若ごぼうこんぺい(同)』などです。テレビ番組で取り上げていただいたり、ネットのまとめサイトができるなど、こちらもオンラインショップの売り上げにつながってきています」
本社のある八尾工場には「コンペイトウミュージアム」が併設されているが、こちらも新型コロナの影響で団体客のキャンセルが相次いだ。密を避けるため、現在は少人数制にシフトチェンジしている。そこでは、京都に出店をしていた時に使っていた体験用の一人釜を作り直し、金平糖作り体験ができる「プレミアム金平糖工房」を実施。直径30センチのミニ釜を使ってオリジナルの金平糖を作るというものだ。
色と味を選んで、2タイプの金平糖を創作。どんな色変・味変が起こるのか、理科の実験気分が楽しめる。金箔や増量といった有料オプションも用意されている。
「カップルのデートコース情報などを紹介する『縁結び大学』さんに“工場見学デート”として紹介されたこともPRになりました。プレミアム金平糖工房はおふたりだけで進められるように進行イラスト表もあるので、『職人のレクチャーを極力少なくしてふたりだけでまったりと作りたい』などといったご要望も受け付けています。2種類の金平糖が作れるのですが、どんな色と味になるのか、作っていく工程でおふたりの性格もより丸裸になってしまうなんてこともあるでしょうね」
とは、しおりさん。金平糖だけにさぞかし甘い体験ができそうだ。
(取材・文=中森勇人)