阪神タイガースを実質的に”阪急タイガース”にさせてしまった村上ファンド
アンチ・ジャイアンツである。先日、巨人が阪神に3連敗した時は、嬉しくて何度もスポーツニュースを見た。とてつもなく弱い今年の阪神に、しかし、ファンは変わらず熱い声援を送っている。
この阪神の親会社は阪神電鉄であるが、現在、同社は阪急阪神ホールディングスの傘下にある。『会社四季報』には、「阪神球団や宝塚歌劇が想定上回る好調」とあるが、この阪神タイガースが”村上タイガース”となるところだった。NHKならぬMHKの虚業家たちが世間を賑わせたことがある。村上世彰、堀江貴文、そして木村剛のMHKである。彼らは投資家とも呼ばれたが、実業家ならぬ虚業家だった。竹中平蔵の弟分の木村は消え去ったが、村上もホリエモンも健在である。経産官僚から転じた村上は村上ファンドとして知られ、フジサンケイグループを買収しようともした。その時タッグを組んだのが堀江である。
これに失敗した村上は次に阪神電鉄株を買い始める。2005年のことである。4割近くまで取得して、阪神タイガースの上場も提案した。中川右介の『プロ野球「経営」全史』(日本実業出版社)によれば、この時、「阪神タイガースが村上タイガースになるなんて嫌だ」という声が圧倒的多数を占めた。村上もそんなことは考えていなかったのだが、名称がひとり歩きしたのである。