有森隆
著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

退任した「富士フイルム」のドン 古森重隆氏が残した長期政権の功罪

公開日: 更新日:

 富士フイルムホールディングス(HD)は、6月29日に開催した定時株主総会で古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO・82)が退任し、最高顧問に就いた。同氏に対して役員退職慰労金3億2500万円、特別功労金5億円を含め、総額11億2200万円が支給された。

 “古森政権”の功罪は相半ばする。デジタルカメラの普及で祖業の写真フイルム市場が消滅する中、2000年に社長に就いた古森氏が掲げたのが「第二の創業」だった。事務機の富士ゼロックスを連結子会社にし、08年には富山化学工業(現富士フイルム富山化学)を買収し、医薬品事業に本格参入した。いち早く、構造改革を主導した古森氏は“中興の祖”と呼ばれた。

 事業家人生の最大の痛恨事は、米事務機大手ゼロックスの買収の失敗である。

 富士フイルムは富士ゼロックス株式(持ち株比率75%)を使って、米ゼロックスを「現金支出ゼロ」で買収しようとした。これに対して、「物言う株主」として知られるカール・アイカーン氏らがかみついた。古森氏が買収発表の記者会見で「ゼロ円買収」を打ち出したのが、そもそもの失敗だった。「買収するなら自腹を切れ」というわけだ。

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