演劇・ミュージカルの“聖地”帝国劇場が建て替え決定 共同所有者・東宝の皮算用は?
「レ・ミゼラブル」や「屋根の上のヴァイオリン弾き」に「SHOCK」シリーズ……。
多彩な演劇やミュージカルの舞台となり、「聖地」とも呼ばれてきた東京・丸の内の帝国劇場。1969年から84年までは「日本レコード大賞」の発表会場ともなり、大晦日の「年末ジャンボ宝くじ」の抽せん会場となったことでも知られる。
■新ビル完成後に再開する方針
その「帝劇」を中核とする「帝劇ビル」が生まれ変わる。ビルを共同所有する東宝と公益財団法人の出光美術館がこのほど建て替えを決めた。隣接する「国際ビル」を保有する三菱地所とともに一体的に再開発する。帝劇と出光美術館は2025年をメドにいったん休館。新ビル完成後に再開する方針だ。
建て替えの費用やスケジュールは未定で、計画の詳細は今後3者で協議して詰める。建て替えるのは老朽化が進んでいるためだ。今の帝劇は「2代目」で、東宮御所などの設計にも携わった昭和期の建築家・谷口吉郎氏(故人)の設計だ。地下6階・地上9階建て、劇場の収容能力は1897人。ただ1966年9月の竣工から今年で半世紀超。一部では耐震性などの問題を指摘する声も上がっていた。落成以来ここに本社を置いてきた石油元売り大手の出光興産が一昨年、大手町にオフィスを移転したのも「建て替え機運を促した」(事情通)要因のひとつといわれている。