中小企業の春闘“満開”ははかなし…「背伸び賃上げ」が廃業&倒産リスクを高める
満開の桜はいつまで持つのか。日本商工会議所が全国の中小企業6013社を対象に実施したアンケート調査(2月1~28日・有効回答3308社)によると、23年度に賃上げを実施するとの回答が58.2%に上った。前年の45.8%から大幅アップ。大企業の積極姿勢が波及したようにみえるが、内実は脆弱だ。
■深刻な人手不足
中小企業の賃上げを促したのは深刻な人手不足。64.3%が人手について「不足している」と答え、前年同期から3.6ポイント増えた。賃上げの理由も「従業員のモチベーション向上」(77.7%)が最多で、「人材の確保・採用」(58.8%)が続く。賃金アップで今いる従業員をつなぎ留め、新たな人材確保を図ろうとしていることがうかがえる。
問題は、賃上げに業績が伴っていないことだ。商工会議所の担当者は「足元の人材の確保・定着、物価上昇を受けて、業績の改善がみられない中での賃上げを予定している企業が約6割を占めます。経済の好循環に向けて持続的な賃上げを実現していくためには、景気対策や円滑な価格転嫁への支援等を求める声が多くあります」(アンケートを実施した産業政策第二部)と答えた。