市場で注目される「低PBR銘柄」 個人投資家の投資戦略と東証が評価する29社

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反応鈍い日本企業

 今後、日本の企業は変わっていくのか。

「海外出張で、現地の金融関係者などに日本の企業はどうなのかと聞かれると、こう答えています。3分の1は本気で変わろうとしている。3分の1は変わるふりをしている。3分の1は無視している、と」

 PBR対策について対応がよくない企業はどうか。

「PBRの高い業種であるサービスや小売り。時価総額の低い企業はリソースが足りない」だそうだ。真面目に変わろうとしている業種はどこか。

「低PBR業種である銀行が一番真摯に対応しました。真面目な人が多くて、横並び意識がありますから。ただ地銀はROE目標を掲げても人口減少地域では貸し出しや利ざやを上げることは非常に難しい。マイナス金利解除の恩恵についてはメガバンクより地銀の方が利ざや改善効果は大きいが、それでPBR1倍になるかはその後の利上げ次第。メガバンクは海外事業比率が高いので利上げの影響は低いでしょう」

 菊地氏は評価できる企業の低PBR対策として、①資本コストを意識したROE、ROICの目標②株主還元・財務戦略の具体策③成長戦略の3本柱を指摘する。

「当初はコーポレートガバナンス報告書に“株主と資本コストを意識する”と書けば合格でしたが、今後はその中身も投資家に評価されることになります。まだ4割の会社しか取り組んでいないわけですから。東証は企業に年に1回のアップデートを求め、PDCA(プラン、ドゥー、チェック、アクション)サイクルで回していくことを要望しています。今後も続いていく話なのです」

■株主高騰の3社

 個人投資家はPBRをはじめ、どのような経営指標を見て投資をすべきか。

「東証は企業の対応状況を集計して、29社の好事例を発表しています(別表)。そのうちの千葉興銀、PLANT、住友林業の株価は高騰しました。住友林業は米国の住宅市場回復の影響もあったでしょう。そもそもPBRへの取り組みは目標のひとつであり、業績拡大が最優先。中期経営計画で実行可能性が高い取り組みが発表されれば株価は上がりますが、その本気度を見極めるのはプロでも難しい。それにこの指標を見れば儲かるという株はありません。投資はサイエンスではなくアート。さまざまなファクターで動きますから」

 バブル期並みの株価に沸く株式市場だが、投資する企業は実態をしっかりと見極めたい。

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