市場で注目される「低PBR銘柄」 個人投資家の投資戦略と東証が評価する29社

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 日本の上場企業は企業努力が足りない──。昨年から東証が企業の尻を叩いている。そこで注目されているのが、株価を判断する指標のひとつ、PBRだという。

 ◇  ◇  ◇

 昨年3月末に、東京証券取引所(東証)は、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を発表した。

 そこでは企業の資本コスト、資本収益性、市場評価において現状分析に用いる指標として、ROIC(投下資本利益率)、ROE(自己資本利益率)、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などが挙げられた。

 特にPBRはマスコミによって大きく取り上げられ、低PBR銘柄が注目された。

 PBRは株価を1株当たり純資産(BPS)で割った倍率。この数字が1倍より小さければ、

「純資産>株価(時価)」

 となり、仮に企業が解散したときは、1株当たりの株価が資産より下回る。割安株として、上場企業は株価を上げる努力をしていないとも解釈されるのだ。

■米国は平均4倍、日本は同1.4倍

 証券市場で何が起きつつあるのか。みずほ証券チーフ株式ストラテジストの菊地正俊氏は、「低PBR株の逆襲」(日本実業出版社)を上梓。ではその「逆襲」とは何か。菊地氏に詳しく聞いた。

「日本はこの20年間、半分くらいの企業がPBR1倍割れです。米国は平均4倍なのに、日本は平均1.4倍。そこで東証は3月末に“資本コストと株価を意識した経営をせよ”と打ち出した。これが低PBRの逆襲の始まりでした。2つ目が日銀の金融正常化で、昨年、長期金利のYCC(イールドカーブ・コントロール)を見直しました。今年4月にはマイナス金利を解除するともみられていて、金融正常化は低PBRの代表株である銀行株にプラスに働きます。3番目は、割安株をターゲットとするアクティビスト(物言う株主)や日本のエンゲージメントファンド(対話する投資家)の活発化です。こういった投資家からの圧力が、今まで市場を無視してきた低PBR企業を目覚めさせる新しい動きのキッカケになったのです」

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