生成AIの未来予想図 株価4万円へと牽引した半導体相場の起爆剤は今後どうなる?

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ChatGPTが目指す本丸はAPI提供

 世界的な株式相場高騰のキッカケを生んだ生成AIの現状をチェックしよう。

 22年11月、チャットGPTがリリースされると、5日間で100万人がアクセス。利用者数1億人突破はわずか2カ月だった。

 TikTokやインスタグラムの1億人達成は、それぞれ9カ月と2年半。これらを大幅に上回るインパクトから、大きな注目を集めたのだ。

 しかし、その後利用者数は微増で、検索ではグーグル回帰が進む。パソコンやスマホ上のあらゆる作業を生成AIに任せるというムードは薄れ、生成AIブームはピークを越えたという見方さえある。

 21年のピーク時から半減したテスラ株の二の舞いか。チャットGPTについては、そんな声もあるが……。

「チャットGPTが目指す本丸は、開発者向けのAPI(ソフトウエアやプログラム、ウェブサービスなどをつなぐインターフェース)の提供で、企業向けのプラン(Team、Enterprise)です。そこに対応するセールス部隊もいて、チャットGPTを開発したOpenAI社はSNSでのマーケティングも常に上手に展開しています」

■グーグルvsマイクロソフトの対決で分があるのは?

 だれでもアプリを使えばチャットGPTを利用できるが、ウィンドウズユーザーはオフィス製品上でGPT4を搭載した対話型生成AIのCopilot(コパイロット)を利用する方が便利だろう。なにせマイクロソフトはOpenAI社に49%出資する親会社だ。

 一方、グーグルは対話型生成AIのGemini(ジェミニ)を一般公開。画像読み込みや文字認識、グーグル検索との連携が可能で、ジェミニ派が増えているという。コパイロットとどちらが使い勝手がいいのか。

「私は両方の有料会員ですが、日本においてはコパイロットに分があると思います。何より、日本の大手企業のPCはオフィス製品が主流。コパイロットはそこに搭載されているのですから、使いやすいでしょう」

 今年の生成AI市場はどうなるのか。3つのトレンドがあるという。

①より賢いモデルの登場

②行動を伴う出力

「生成AIの出力は現在テキストが中心ですが、より賢いモデルでは行動まで出力してくれるようになります。たとえば、『こんな動画を作ってユーチューブにアップロードして』とリクエストすれば、こたえてくれるようなイメージで、もちろん、実行権限を付与した上でのことです」

③マルチモーダル

「音声や動画などさまざまな形式のデータを組み合わせて生成するのがマルチモーダルです。この仕組みを利用すると、OpenAIが最近発表して大反響だった動画生成AI『Sora』のようにテキスト以外に画像や音声を統合して処理できるようになります。『Sora』は一般公開されていませんが、実用化されると利用シーンは間違いなく広い。楽しみですね」

 進化を続けるAIの分野で日本企業がどう関わっていくのか。目が離せない。

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