著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

経団連の会長人事(下)本命は日鉄の橋本英二会長、対抗はNTTの澤田純会長としておく

公開日: 更新日:

 次期経団連会長は誰か。衆目の見るところ本命は日本製鉄の橋本英二会長である。対抗は、その勢いを買って、ここではNTTの澤田純会長としておく。

 日鉄は米鉄鋼大手・USスチールの2兆円買収の渦中にある。USスチールの買収は、バイデン、トランプの2人の大統領(候補)に待ったをかけられているが「橋本氏にひるんだ様子はない。欧州委員会(EU)が買収を承認するなど、外堀を埋めて、手堅く一歩一歩前進している。USスチールの米国での買収反対の動きも大統領選が終わるまでと読んでいる」(日鉄幹部)。

 ある経団連関係者は「電磁鋼板の特許を巡ってトヨタ自動車を訴えたのは日鉄の橋本氏。訴訟は和解で昨年秋に一段落したが、トヨタの豊田章男会長の怒りは収まっていない。もし橋本氏を経団連会長にしたら、豊田氏は経団連モビリティ委員会の委員長のポストを放り投げかねない」と心配している。しかし、これはおかしな話。経団連会長になる気のない豊田氏が、他の人選にとやかく言う資格はないはずだ。

「橋本氏の就任を豊田章男氏の意向に忖度して回避したらどうか」とする考えは、もはや古いというかバランスを欠いている。「豊田章男、なんぼのものなのや!!」という外野席からのヤジが聞こえてきた。

「鉄は国家なり」の時代、日鉄の前身の新日鉄は、5代会長の稲山嘉寛氏、6代斎藤英四郎氏、9代今井敬氏を輩出するなど、経団連会長は、いわば指定席だった。だが、それ以降、すっかりご無沙汰をしている。橋本氏が第16代会長に就けば、日鉄にとっても久々の朗報となる。しかし、そうなれば「失われた30年に逆戻りする」との冷ややかな声があるのも事実だ。

 橋本本命とするなら対抗はNTTの澤田純会長としておく。NTTは5月10日、6月の株主総会の日付(6月20日)で澤田会長の代表権を外すと発表した。会長職は続ける。昨年、経団連副会長に就任。

「今後は財界活動に一層、注力する」(澤田氏の側近)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲