著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

セブン&アイHD(上)カナダのコンビニ大手が買収提案の衝撃

公開日: 更新日:

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)が、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた。

 セブン&アイは特別委員会を立ち上げ、検討を始めている。「『著しく』過小評価している」といった内容の書簡も送った。

 再編論から経済安保まで議論は白熱化している。それを検証する前に、買収を提案したクシュタールがどんな会社かを見ておこう。

 クシュタールは、ガソリンスタンドを併設するコンビニを展開する世界的な企業。カナダのケベック州に本社を置きトロント証券取引所に上場。クシュタールやサークルKなどのブランドでカナダや米国、欧州などおよそ30カ国で1万6700店以上を擁する。

 2024年4月期の決算の売上高は692億ドル。日本円に換算すると約10兆円になる。セブン&アイの24年2月期の売上高は約11兆円。クシュタールより1割多い。

 だが、株価を反映した時価総額はセブンの5.8兆円(12日)に対し、クシュタールは7.7兆円(同)。「セブンは割安」と判断して買収を仕掛けたとの見方が有力だ。狙いはセブンのドル箱である米でのコンビニ事業である。

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