トランプ勝利が招く国際混乱…米中関係、ウクライナ戦争、中東情勢すべてが波乱含み

公開日: 更新日:

「米国史上いまだかつてない勝利だ」──。接戦にもつれると予想された米大統領選は、あっさりと共和党のトランプ前大統領の返り咲きで幕切れ。投開票が進む中、トランプは激戦3州を制した段階で勝利を宣言した。「私は戦争を始めるのではなく、止めるのだ」と胸を張ったが、トランプ復活は国際情勢に何をもたらすのか。

■米中関係

「タリフ(関税)マン」を自称するトランプは、輸入品に対する一律10~20%への関税引き上げを公約のひとつに掲げている。特に中国への強硬姿勢は第1次政権から筋金入り。中国からの輸入品には一律60%の関税をかける方針を掲げ、再度の米中貿易戦争も辞さない構えだ。

 とはいえ、関税引き上げは米国内のインフレの火に油を注ぎかねない。トランプは民主党政権のインフレ対策を「お粗末」と批判してきただけに、公約通り突っ走るかは疑問符が付く。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)がこう言う。

「トランプ氏は表面上、対中強硬路線を打ち出していますが、自身が所有する不動産に中国政府や国営企業から多額の支払いがあったことが明らかになっています。いわば中国の政府筋から支援を受けているわけで、関税を引き上げるとしても、別の分野で中国のプラスになる材料を提示するのではないか。お得意の『ディール(取引)』を試みるだろうと思います」

 中国外務省の毛寧副報道局長は6日、今後の米中関係について「ウィンウィンの協力の原則に基づいて今後も対応する」とコメントした。ディールの余地はありそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  2. 2

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  3. 3

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  1. 6

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  2. 7

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

  3. 8

    「ルンバ」のアイロボット社に事業継続困難疑惑…代表執行役員社長が舞台裏を説明

  4. 9

    中野サンプラザ、TOC、北とぴあ…都内で建て替え計画が相次ぎ頓挫する理由

  5. 10

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波