2024年で営業終了…大阪ミナミの“魔窟”「味園ビル」に魅せられた一夜

公開日: 更新日:

「お客さん、チェックアウトの時間ですよー!」。ホテルのドアをノックする清掃員の呼びかけに飛び起き、激烈な二日酔いにうめきながらハッとした。アラームをかけ忘れ、眠り込んでしまったらしい。大寝坊をかます数時間前、本紙記者は大阪ミナミの「味園ビル」でグラスを重ねていた──。

 近鉄日本橋駅から徒歩2分。黒門市場のほど近くに味園ビルはそびえる。1956年の完成以来、約70年にわたり“ミナミの顔”として君臨してきた。

 地上5階、地下1階の建物に、かつては2~4階をぶち抜いたキャバレー「ユニバース」が営業。デビュー前の和田アキ子やブレーク前のピンク・レディーが舞台に上がったなど、エピソードに事欠かない。

 キャバレー人気の凋落や大規模改修を経て、2階に約40軒のバーやスナックがひしめく今の姿に。国内外から「ミナミの魔窟」として親しまれてきたが、2024年末を最後に2階店舗は営業終了。25年5月にはビルが解体される予定だ。

 最後を目に焼き付けようと、本紙記者が現地を訪れたのは12月初旬のこと。噴水が湧く池の脇から2階へと延びる豪奢なスロープを上がる。バーやスナックを横目に「口」の字に続く通路を歩いてフロアを一周すると、古いビル特有のホコリっぽさに、お香をたいたような気だるく甘い香りが充満していた。

 フロア入り口にたたずむバー「ロイヤル・クラウン」は19周年を迎えた老舗だ。黒を基調とした店内は中央からぶら下がるシャンデリアが妖艶な雰囲気を醸し出す。ムーディーな空間に気おされたが、スタッフのサトシさん(37)は2階テナントの契約終了について気さくに教えてくれた。

「25年1月15日までに完全撤収すればいいそうで、年明けも片付けをやりつつ開ける店もあるとか。期限までに撤収しなければ、賃料の3倍を取られるなんて話もあります。コロナ前からビル自体はなくなると言われていたので、24年5月にビルの運営側から『年内で契約終了』とのアナウンスがあった際は『いよいよ来たか』と。11月末くらいから、『味園ビル、終わりなんですよね』と初めて来られる方もいらっしゃいます。インバウンドのお客さんも多いですね」

 カウンターに並んで座っていた男女の常連客は「さみしなるなぁ」と口をそろえていた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    289億円負債で経営破綻した絆ホールディングスと政界の“不可解なキズナ”を福祉関係者が注視

  2. 2

    止まらない長期金利上昇に高市政権ビビり…「骨太の方針」原案発表から数日で慌てて修正の前代未聞

  3. 3

    経済オンチ高市政権の呆れた居直り…「骨太の方針2026」で堂々“円安インフレ容認宣言”盛り込む

  4. 4

    高市首相と片山財務相が「1ドル=162円」突破で足並み乱れ…2人が“微妙な関係”に陥った裏側

  5. 5

    ラーメン店&焼き肉店の倒産が過去最多…厳しい円安と物価高だけじゃない「意外な影響」とは

  1. 6

    家族連れ、夫婦、出張…新幹線代をケチって自由席へ「指定席代」は節約すべき対象?

  2. 7

    民間在庫量が過去最多、強まる先安感にコメ業界複雑…消費者安堵の裏で生産者が大量離農の恐れ

  3. 8

    円安は止まらず、ドルベースの日経平均株価は下落…海外勢の利益確定売りは今後も続く

  4. 9

    補正予算3兆円は全額赤字国債、財政悪化懸念に高市・片山コンビが“安心感”強調も…マーケットの不信感は募るばかり

  5. 10

    ヨドバシが駅直結の東口で開業 池袋家電戦争で問われるビックとヤマダの戦略

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    戸郷が離脱、則本メッタ打ちで巨人が緊急補強へ…候補に挙がる「オリックス投手」の名前

  2. 2

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  3. 3

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  4. 4

    孤立深まる高市首相…国会10日ぶり正常化でも続く“包囲網” 与党内からも反発の声噴出の自業自得

  5. 5

    ベネズエラの剛腕マチャドが今オフ、オリックスとの契約満了で日米争奪戦に発展か

  1. 6

    小池栄子が一番の被害者? 佐藤二朗“ハラスメント騒動”に足引っ張られた「さよならノワール」の評価は上々

  2. 7

    高市首相が衆院集中審議に“出たくない”とブー垂れ…身内の自民国対「もう疲れ果てた…」ヘトヘトのお気の毒

  3. 8

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  4. 9

    白井球審への“侮辱行為”で退場した一部始終「何やおまえ、いい加減にしろよ!おまえも未熟なんだから…」

  5. 10

    沈黙貫く橋本愛vs佐藤二朗「週刊新潮」で反論の泥沼化…SNS連投で"自滅"を心配する声も