「株主優待」企業が再び増加に転じた「2つの理由」…そして、さらに見逃せない“隠れた魅力”とは

公開日: 更新日:

 個人投資家に人気が高い株主優待だが、その実施企業は2019年の1532社をピークに減少、株主優待を廃止する企業が目立っていた。

 理由は、少額投資の個人が優遇されるという不平等と機関投資家からの圧力、そして管理コストの負担だった。

 ところが最近、再び増加傾向にある。2年連続で純増に転じていて、24年9月までの1年間では、株主優待実施企業は1494社まで回復しているのだ。警備大手のセコムは23年3月期にいったん優待制度を廃止したが、25年3月期から再開すると発表している。

 背景に何があるのか。理由は2つ考えられる。

 ①新NISAが24年1月にスタートし、個人投資家を意識した施策を強化する企業が増えた。

 ②株式の持ち合い解消が進み、企業は新たな株主を確保するために個人投資家をターゲットとした。

 そして、さらに見逃せないのが株価の下支え効果である。興味深いデータを紹介したい。株価が大暴落した昨年8月の第1~3営業日で、株主優待実施企業の株価は市場平均を2.6%上回った。ちなみに配当を実施する企業は1.1%、自社株買いでは0.3%にとどまった。つまり、優待を実施している企業の株を値下がりしたところで狙っている個人投資家が多数存在しているのだ。それもあって株価対策として、企業の株主優待も復活傾向にあるのだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  2. 2

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  3. 3

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  4. 4

    今なら炎上だけじゃ収まらない…星野監督は正捕手・中村武志さんを日常的にボコボコに

  5. 5

    「高市早苗総裁」爆誕なら自民党は下野の可能性も…“党総裁=首相”とはならないワケ

  1. 6

    志村けんさん急逝から5年、更地になった豪邸の記憶…いしのようことの“逢瀬の日々”

  2. 7

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  3. 8

    広陵辞退騒動だけじゃない!「監督が子供を血だらけに」…熱戦の裏で飛び交った“怪文書”

  4. 9

    広陵野球部は“廃部”へ一直線…加害生徒が被害生徒側を名誉棄損で告訴の異常事態

  5. 10

    (3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった