(1)対中輸出が過去最高の12位に…日本の薬はかくも人気
日本の医薬品の中国への輸出が増えている。製薬会社の中には、成長戦略として国内から海外へ販路を広げるところもあるが、本稿で取り上げるのは医薬品の流通段階における「高値転売」だ。新薬開発や保険適用、低く抑えられた薬価は、国民皆保険制度や公的資金の下支えと無関係ではない。その国民負担と切っても切れない関係にある医療用医薬品(処方箋薬)が、中国のブローカーに買い上げられ、高値で転売されている。
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近年、日本の対中輸出は振るわない。今年7月、日本貿易振興機構(ジェトロ)は2024年の日中貿易について、集積回路や自動車部品、化粧品など多くの品目でマイナス成長だったと発表した。
ところが「医療用品」は20億5667万ドル(約3000億円)で、25.9%の伸びと突出し、中国向け輸出品目の12位(構成比は1.3%)に食い込んだ。ジェトロによれば「医療用品は14年の25位から年々順位は上昇傾向にあったが、12位は過去最高位」だという。「医療用品」の中でも医薬品は9割近くを占め、前年比28.7%増の18億217万ドル(約2600億円)となった。