(1)対中輸出が過去最高の12位に…日本の薬はかくも人気
この10年を振り返っても中国人のニーズは大きく変化した。2010年代、インバウンド客による爆買いの対象は、家電製品、化粧品、菓子、雑貨が目立ったが、近年それらも中国で日本以上に安く買えるようになった。一時は「神薬」とまでいわれたドラッグストアの薬だったが、それで満足しなくなった中国人が競って手に入れようとしているのが、日本の処方箋薬なのだ。
日本の医薬品の輸出額は22年に1兆円を超えた。23年には1兆2303億円となり、中国向けは米国向けに次ぐ2位で2036億円まで伸び、全体の16.5%を占めた(厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」)。しかし、この対外輸出の伸びは手放しで喜べない。その理由を残り4回の連載でお伝えしたい。 (つづく)