サントリー新社長に西田英一郎氏が昇格 “ブルドーザー”新浪剛史氏の穴は埋められるか?
新浪氏を招聘したのは佐治信忠氏(現・最高顧問)だった。キリンHDとの統合破談後、自力でのグローバル展開を目指し、米ビーム(現・サントリーグローバルスピリッツ)買収が進む中、海外事業を任せられる人材として当時、ローソン社長だった新浪氏を口説き落とした経緯がある。
新浪氏が社長に就いた14年10月から約10年間で、HDの売上高は1兆円近く増えた。特にアジア・オセアニア地域の伸び率は2.2倍と突出し、日本に次ぐ規模の市場へと成長。米国も9割増となり、売上高の海外比率は22年に5割を超えた。
新浪氏の辞任を受けた9月の緊急会見で、鳥井氏は、「経営戦略は何ら変わることはない」と強調したが、足元の業況は厳しい。25年1~6月期の営業利益は前年同期比3割減の1296億円に沈んだ。前期に計上した関係会社売却益の反動に加え、米トランプ政権の関税政策による先行き不透明感や円安進行が響き、酒類事業が低迷。食品・飲料部門でもベトナムやタイでの消費減退が響き、海外市場の悪化が重くのしかかっている。鳥井・西田体制はいかに巻き返しを図るのか。


















