細るヤクザ情報網 蛇の道の行方は蛇に聞かねばわからない
公安調査庁の元調査第2部長をつとめた菅沼光弘氏は80歳を過ぎたが、まだ新宿に事務所を設けている。去年、訪ねて話を聞いたとき、「暴力団対策法の施行以降、ヤクザは警察との接触をやめた。日本の警察はヤクザについてほとんど分からなくなった」と語っていた。
菅沼氏は警察の捜査力を落とさないためにも、ヤクザ、暴力団を全否定してはならないという考えであり、今、同じような考えを持つ高級警察官僚はいるか、と尋ねたところ、「誰もいなくなった」が答えだった。
しかし、第一線のマル暴刑事の中には、今も依然としてヤクザ、暴力団を情報パイプとして維持すべきだという論者がいる。蛇の道はヘビであり、多少癒着の害が生じようと、ヤクザを含む反社勢力の情報を得るためにはヤクザを外せないという意見である。江戸時代の「二足のわらじ」と同じで、博徒やテキヤの親分を取り込んで情報源にし、見返りにお目こぼしもする。