完成後も市民閉め出し…新国立競技場なぜ自由に入れない?
いつになったら、一般市民に開放されるのか――。先月30日に完成した新国立競技場のことだ。来年の東京五輪のメインスタジアムとして1569億円をかけて竣工したが、市民は“シャットアウト”されている。
整備の事業主体である独立行政法人「日本スポーツ振興センター(JSC)」は新国立の整備に関するリーフレットの中で、〈市民に開かれた「杜のスタジアム」を創ります〉と強調したが、建物の周囲は依然として白いフェンスで囲まれたまま。「市民に開かれた」どころか、気軽に立ち入ることすらできない。
JSCが起工式で使用した新国立のイメージ動画には周長850メートルの屋上空間「空の杜」で市民が散策したり、ジョギングする姿が描かれている。にもかかわらず、実際は閉め出しているのだ。
なぜ、完成したのに自由に入れないのか。スポーツ庁に問い合わせると、「大会組織委員会が今後、新国立で五輪に向けた整備工事を進めていきます。したがって、フェンスを残した方が効率的との判断に基づき、組織委の要望で置いてあります」(政策課)と答えた。テロ対策などセキュリティー上の理由もあるという。