谷口源太郎氏 東京大会で“五輪は不要”の声が広がればいい
本番まで約8カ月となった2020年東京五輪。膨れ上がる開催費用、暑さ対策、マラソン・競歩の札幌移転など迷走が続いている。東京大会は「五輪」という祭典の断末魔を世界にまざまざと見せつけることになるのではないか――。近著「オリンピックの終わりの始まり」(コモンズ)で「五輪は要らない」と言い切るスポーツジャーナリスト・谷口源太郎さんに話を聞いた。
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――著書は五輪の暗黒史ともいえるものです。
初めて五輪を現地取材したのが、1984年のロサンゼルス大会でした。五輪は「平和の祭典」として国際協調が金科玉条とされてきましたが、東西冷戦の影響で米国をはじめとする西側諸国が1980年のモスクワ大会をボイコット。その時点で平和の祭典が終焉し、84年のロス五輪でIOC(国際オリンピック委員会)主導の商業主義が露骨になっていきました。こうした五輪の質の変化と東京五輪開催を巡る問題が重なって、いったい誰のための何のための五輪なのかと思い、一冊の本にまとめました。