溝口敦
著者のコラム一覧
溝口敦ノンフィクション作家、ジャーナリスト

1942年7月5日生まれ。早大政経卒 徳間書店、博報堂勤務を経て、フリージャーリストに。暴力団や闇の世界に深く食い込んだド迫力ルポには定評がある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞、日本ジャーナリスト会議賞受賞。『暴力団』(2011年)がベストセラーに。

「二面性」を失った日本の暴力団の歴史はほぼ終わった

公開日: 更新日:

 日本の暴力団の歴史はほぼ終わったとみられる。なぜそう言えるのか。

 ひとつに社会的影響力の喪失である。分裂した山口組の一方が相手幹部のタマを取ろうと取るまいと、この世の大勢はピクリとも動かない。組員数も激減し、全暴力団の構成員数は準構成員を含めて3万人を切り、最盛期1968年の6分の1以下へと縮小した。

 労働組合の組織化率も目を覆う惨状だが、暴力団は労組以上の落ち込みで、総人数2万人とされる芸能人とおっつかっつになった。

 暴力団は今「反社会的勢力」に数えられるが、もともとは「半社会的存在」だった。つまり、半分は社会から否定されながら、もう半分は行政や社会から認められていた。これのいい例が「二足のわらじ」だろう。

 博徒の親分がバクチの開帳でお目こぼしをいただく一方、十手を預かった。お上は「蛇の道はヘビ」とばかり、ヤクザの方が与力や同心より犯罪情報を早く正確に掴むと承知し、犯罪捜査や街の治安維持に活用した。

 こうした暴力団の持つ二面性は、遊ぶカネさえあれば、今でも辛うじて保持されている。たとえば盛り場での外国人犯罪グループや半グレ集団の動向把握、その駆逐などである。

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