自民派閥解散めぐり…岸田首相と麻生副総裁「手打ち」の裏の利害と打算と今後の仲

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 唐突に宏池会(岸田派)解散を打ち出した「岸田の乱」で注目されたのが、派閥存続を主張する麻生副総裁と岸田首相の関係悪化だ。岸田政権はここまで、麻生派、茂木派、岸田派の主流3派が土台となり、麻生氏が岸田氏の後見役かつ相談相手になってきた。裏金問題が火を噴いた昨年12月には3日連続で会談。安倍派閣僚一掃後の後任人事も麻生氏が仕切ったと囁かれるほどに頼ってきた。

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 ところが、今回の派閥解散については、事前に相談せず、麻生氏は寝耳に水。報道によれば、18日夜の岸田氏の解散発言直後、麻生氏は岸田氏に電話し、「私は派閥をやめませんから」と伝え、岸田氏は「うちの派に問題がある。麻生派は麻生派で」と応じたという。さらに、麻生氏は周囲に「岸田はもう総裁選には出ないんだな」と話したらしい。

 翌19日に2人は党本部で向き合い、麻生氏はあらためて派閥存続の意向を岸田氏に伝えた。そして21日の日曜夜、2人は都内のホテルで2時間の会食。岸田氏の呼びかけで行われ、麻生氏に相談することなく宏池会解散を表明したことを陳謝したという。

「手打ちしたな、と思いましたよ。岸田首相が麻生さんと2人だけで一献。選んだ場所が『山里』ですからね」と言うのはベテランの政界関係者。ホテルオークラの日本料理店「山里」は過去に政界の重要局面で実力者が密議をこらした場所。昼間に茂木幹事長を含めた3人で会談する際も使われ、岸田氏・麻生氏2人だけの夜の会談でも使われている。

「派閥解散宣言に麻生さんが激怒したのは間違いない。岸田首相が初めて自分の意に沿わないことをやったわけだから。しかし、だからといって『岸田降ろし』をしても麻生さんにプラスはない。結局、今後の政局を考えたら、今まで通り2人が手を組んだ方が権力を掌握し続けられる。そんな利害の一致があったのだろう」(前出の政界関係者)

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